一般的に転職は、年齢が上がるほどむずかしくなります。そのため、「看護師も40代になると、転職がむずかしいのでは?」と思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、40代看護師の転職事情について詳しく解説します。また40代看護師におすすめの勤務先や転職のポイントも紹介します。参考にしてみてください。
転職はむずかしい?40代看護師の転職事情!

40代看護師の転職はさほどむずかしくありません。新卒採用に重点を置く大規模な病院や美容クリニックでなければ、転職しやすいといえるでしょう。実際に経験豊富な40代の看護師を募集するところは多いものです。
とはいえ、年齢が若いほうが転職を成功させやすいのは事実です。その要因には若い人のほうが仕事を覚えるのが早い、体力がある、長期的なキャリア形成を期待できるといった点があげられます。
50代になると採用難易度は一気に上がります。転職を迷っている40代の看護師は、早めに行動したほうがよいでしょう。
40代看護師の転職がむずかしくない理由は?

一般的に転職は年齢を重ねるほどむずかしいといわれていますが、なぜ看護師は40代でも転職ハードルは高くないといえるのでしょうか。ここではその理由について解説します。
看護師は人手不足だから
多くの病院では看護師が不足しており、看護師業界は売り手市場が続いています。年齢を問わず、ひとりでも多くの看護師を採用したいと考える病院が多いため、40代であっても転職はさほどむずかしくないのです。
人手不足の背景には、日本の少子高齢化社会も大きく影響しています。医療ケアが必要な高齢者が多いのに対し、それを支える看護師の数は足りていません。今後も少子高齢化が進むことで、看護師の人手不足は深刻化していくでしょう。
ベテラン看護師は即戦力になれるから
転職の際は、即戦力になれるかどうかも重要です。その点、40代の看護師はこれまでのキャリアのなかで、十分なスキルを身につけているとされ、転職では有利になるのです。
人手不足にあえぐ病院の多くは、看護経験の浅い看護師に対し、丁寧な研修を行うだけの時間的・人員的余裕がありません。ベテランの看護師は若い看護師と比べて教育コストがかからず、新しい環境に慣れさえすればすぐに活躍できると期待されています。
また20~30代の看護師のなかには、結婚や出産などのライフステージの変化により、退職や休職をする人もいます。そのため経験豊富で、かつ長期的な戦力となる40代看護師は歓迎されるのです。
採用後の離職率が低いから
採用活動にはコストがかかるため、病院は長く働いてくれる人材を求めています。前述のとおり、20代や30代の女性看護師は、結婚や妊娠、出産などを機に休職や退職をすることも少なくありません。
一方で、40代の女性看護師はライフステージの変化を理由とした離職率が低く、採用で有利になることは多いものです。
また採用側に「子育て中であれば、子どもの養育費や家のローンなどでお金がかかることが多く、すぐには退職しないだろう」といった期待をされるケースもあるでしょう。
定年までの期間が10年以上あるから
40代の看護師は、定年まで10年以上期間があり、長く働けることも評価されやすい点です。
病院は長期的に勤務してくれる人材を求めています。そのため、定年まで10年以上ある40代の看護師に対し、採用側は、「長く働いてくれるだろう」という期待を抱きます。
40代看護師は即戦力として活躍できることはもちろん、安定して働き続けられる点も強みとなるのです。
40代看護師の転職が不利になるケースは?
40代の看護師の転職は十分に可能ですが、状況によっては不利になる場合もあります。
特にブランクが長いと、医療現場の最新知識や技術に適応するまで時間がかかるため、採用側は不安に感じるものです。また実務経験が少ない場合も、即戦力を求める病院では不利になるでしょう。
さらに体力面の衰えや新しい業務に対する柔軟性が懸念されることもあります。採用側に安心してもらうためにも「ブランク中も学び続けていたこと」や「過去の経験で得た強み」を伝えることが重要です。
40代看護師が転職を意識するきっかけ

40代の看護師が転職を考える背景には、育児や家庭との両立、キャリアの見直し、働き方の変更などさまざまなものがあります。ここでは、40代看護師が転職を意識する主なきっかけについて解説します。
育児と仕事の両立がむずかしい
40代は、子育てと仕事の両立に悩みやすい時期です。特に夜勤や残業が続くと家庭とのバランスが取りにくく、心身の負担も大きくなります。
例えば、急な発熱など子どもの看護で早退や休みが重なると「職場に迷惑をかけた」と感じ、転職を考える人もいるでしょう。こうした背景から、家庭と両立しやすい環境を求めて転職を検討する看護師は多いものです。
育児が落ち着いて自分の時間ができた
子育てが一段落し、自分の時間が確保できるようになることで、これからの働き方を見直したいと考える40代の看護師もいます。
これまで家庭を優先して選べなかった働き方に目を向けたり、新しい環境に挑戦したいという思いが芽生えたりする人も少なくありません。
経験を活かしてキャリアアップしたい
40代は看護師としての経験が蓄積され、自分の得意分野や関心が明確になる時期でもあります。今後の働き方を見直すなかで、「これが最後の転職になるかもしれない」と考え、今の職場では叶わないキャリアアップを目指し転職を考える人もいます。
認定看護師や専門看護師、管理職など新たな役割に挑戦したいという前向きな意欲を持つケースもあるでしょう。これまでの経験を土台に成長できる環境を求め、転職に踏み出す人も少なくありません。
夜勤や残業が少ない職場で働きたい
40代は体力の低下に加え、更年期による不調を抱く人も多く、夜勤や長時間勤務が負担になりやすい時期です。さらに子育てや介護との両立も重なり、心身のバランスを保つために勤務形態を見直したいと考えるようになります。
看護師として働き続けたいという思いがあるからこそ、無理のない環境を求めて転職を検討する人も多いのです。
採用難易度が低い?40代看護師におすすめの転職先!

看護師の転職先は病院だけに留まりません。ここでは、40代看護師におすすめの転職先を5つ紹介します。
総合病院でキャリアアップする
管理職へのキャリアアップを目指すのであれば、総合病院への転職がおすすめです。
総合病院は採用難易度が低いわけではありません。一方で看護師の人数が多いため、マネジメント能力があれば採用されやすいといえるでしょう。
総合病院は標ぼうする診療科も多く、前職と関連性のある分野や得意分野をアピールできれば、選考で有利になるでしょう。また規模が大きい分、幅広い仕事を任されたり、他病棟へ異動したりするチャンスもあります。
クリニックでプライベートとの両立を図る
クリニックは少人数で運営しているところが多い分、経験豊富で幅広く業務をこなせる看護師は重宝されます。そのため、40代看護師が活躍しやすい職場だといえるでしょう。
また多くのクリニックは夜勤がなく、土曜の午後や日祝に休みが取れるメリットがあり、子育て中の人やワークライフバランスを整えたい人におすすめです。ただし夜勤がない分、収入が下がる可能性があります。
療養型病院や介護福祉施設で余裕を持って働く
残業が少なく、穏やかな環境で働きたい人には、療養型病院や介護福祉施設がおすすめです。
療養型病院に入院する患者さんは比較的状態が安定しているため、急変対応や残業が少ない傾向にあります。また入院期間が長期に及ぶ分、一人ひとりにじっくりと手を添える看護ができます。
介護福祉施設での看護師の仕事もバイタルチェックや服薬管理といった健康管理がメインで、病院に比べ医療行為を行う機会は多くありません。また残業も少ない傾向にあり、心身に余裕をもって働けるでしょう。
一人ひとりと丁寧に向き合う
訪問看護は一人ひとりの利用者さんとじっくりと向き合えるため、丁寧なケアをしたい人に向いています。訪問看護では利用者さんの自宅を訪問し、健康状態の観察や医療的ケア、療養上のサポートを行います。
基本的にひとりで業務を行うため、その場の判断は自分で行わなければなりません。また技術面だけでなく、コミュニケーションスキルや臨機応変に対応する力も求められます。
一方で訪問看護は日勤がメインで土日祝休みのところも多く、家事や育児で忙しい人にもおすすめの職場です。
40代看護師が転職するときのポイント!

40代看護師の転職はさほどむずかしくありませんが、転職活動をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、40代看護師の転職のポイントを4つ紹介します。
50代の働き方を見据えて転職先を選ぶ
転職先を決める前に、50代以降のキャリア設計を考えることが大切です。40代看護師の転職はむずかしくないものの、50代以降になると、転職の難易度は一気に上がります。そのため、定年まで長く働ける職場選びが重要になります。
また年齢からくる体力の低下も考慮する必要があるでしょう。いまは体力に自信があっても、50代、60代と年齢を重ねるうちに、体力的にきついと感じる場面は増えてくるものです。
また転職先で定年退職を迎える可能性も踏まえ、退職金制度や定年後の再雇用制度などについても調べることをおすすめします。
複数の求人に応募する
転職を成功させるには、複数の求人に応募するのがポイントです。40代の看護師は20代・30代よりも転職難易度が高い傾向にあり、複数の求人に応募することでスムーズな転職が実現できるでしょう。
特に一般企業や美容クリニックへの転職は競争率が高く40代看護師にとってハードルは上がります。気になる求人があったら、複数応募しましょう。
40代のデメリットをカバーできる点をアピールする
転職の際には、自分の強みをアピールすることが大切です。40代看護師の場合は、年齢に対して懸念を示されないよう、工夫が必要です。
前職の経験や過去のエピソードを交えながら自己アピールを行い、採用側の「40代の看護師は「体力がない」「新しいことを覚えにくい」といった懸念点を払拭することを意識しましょう。
まとめ
看護師の人手不足にあえぐ病院は多く、40代でも転職はさほどむずかしくありません。また40代看護師の豊富な経験とスキルをアピールすることで、転職を有利に進められるでしょう。40代で転職を考えている看護師は、今後のキャリアビジョンを描いたうえで転職先を探しましょう。
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