心臓リハビリテーション指導士になる方法は?受験の条件や試験内容、合格率を紹介

心臓リハビリテーション指導士になる方法は?受験の条件や試験内容、合格率を紹介

心臓リハビリテーション指導士は、循環器疾患を持つ患者の回復と社会復帰を支える専門資格です。心不全の再発予防や在宅療養支援において、その知識とスキルが求められています。

この記事では、心臓リハビリテーション指導士の主な仕事内容から資格の受験条件・試験内容、学習方法、合格率、取得のメリットまで詳しく解説します。

循環器領域の専門性を高めたいと考えている看護師は、ぜひ参考にしてください。

心臓リハビリテーション指導士とは?

心臓リハビリテーション指導士とは?

心臓リハビリテーション指導士(心リハ指導士)は、循環器疾患を抱える患者さんに対し、運動療法・生活指導・心理的支援を行う専門資格です。心不全や心筋梗塞などの急性期治療後、患者さんが安全に日常生活へ復帰できるよう、再発予防を含めた継続的なサポートを行います。

心臓リハビリテーション指導士の資格制度は2000年に日本心臓リハビリテーション学会によって創設され、2025年2月時点で、7,781名が認定されています。

看護師が資格を取得すれば、循環器病棟や心リハ外来で求められる高度なケアを実践できるだけでなく、転職時の専門性アピールにも役立つでしょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心リハ指導士とは?特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 全国指導士名簿

心臓リハビリテーション指導士の主な仕事内容

心リハ指導士は、看護師としての視点を活かしながら多職種と連携し、患者さんの全身状態を総合的に評価したうえで、リハビリの支援をします。具体的な仕事内容は、次のとおりです。

● 心電図・バイタルを確認し、安全な強度の運動指導を実施
● 食事・禁煙・服薬など生活習慣に関するアドバイス
● 患者さんの状態に応じたリハビリプログラムの作成と定期的な評価
● 医師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士との情報共有や連携・調整
● 他職種スタッフへの技術的な助言や指導
● 在宅療養を見据えた家族への指導や心理的支援
● 退院支援カンファレンスなどでの情報提供
● 心疾患に対する理解を深めるための患者さんの教育や資料の提供

勤務先は病棟・外来・在宅と幅広く、患者さんのライフステージ全体を支援できる点が特徴です。

心臓リハビリテーション指導士になる道のり

心臓リハビリテーション指導士になる道のり

心臓リハビリテーション指導士を目指すには、所定の条件を満たしたうえで講習会を受講し、試験に合格する必要があります。

ここでは、受験資格や試験の流れについて解説します。

心臓リハビリテーション指導士の受験資格5つ

心臓リハビリテーション指導士の受験には、以下5つの条件を全て満たす必要があります。

  1. 医師・看護師など11職種いずれかの資格を保有している
  2. 申請時点で直近2年以上継続して同学会の会員である
  3. 心疾患リハの実務経験が1年以上ある。または同学会の研修を受け認定証を取得している
  4. 学会主催の講習会(1部・2部)を当該年度に受講している
  5. 申請書・推薦書・10症例報告など所定の書類を全て揃えている

条件の1つでも欠けると受験資格が得られないため、早めに確認しましょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 新規受験に必須の条件

心臓リハビリテーション指導士になるまでの流れ

心臓リハビリテーション指導士の資格を取得するまでのステップは、おおまかに以下のとおりです。

  1. 受験前:自験例報告書(10症例レポート)を作成する
  2. 4月上旬〜中旬:申込書類を郵送する
  3. 6月下旬〜7月上旬:講習会を受講する
  4. 7月中旬:筆記試験に臨む
  5. 8月ごろ:合格発表で合否を確認する
  6. 9月以降:認定証が発送される

出願・受験方法(募集要項)は毎年変更されます。申請する年の3月ごろに、公式サイトの募集要項を必ず確認しましょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心臓リハビリテーション指導士試験について

心臓リハビリテーション指導士の試験内容

心臓リハビリテーション指導士の試験は、次の条件で実施されます。

● 試験時間:60分
● 問題数:50問
● 出題形式:多肢選択形式
● 回答方法:マークシートで指定された1〜2個の正答を塗りつぶす(2個回答問題は両方正解で得点)
● 持参用具:HBまたはBの鉛筆(シャープペンシル可)と消しゴム

マークシートの塗り漏れや解答個数の誤りは減点対象となるため、回答後に必ず見直しましょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心臓リハビリテーション指導士 認定試験のご案内

心臓リハビリテーション指導士の合格率はどれくらい?

心臓リハビリテーション指導士の第25回試験(2024年度)では、受験者695名中560名が合格し、合格率は80.6%でした。

職種別の合格率は医師100%、看護師62.3%、理学療法士79.3%と幅がありますが、全体としては例年70〜80%台で推移しています。十分な準備を行えば、看護師も十分合格できます。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心臓リハビリテーション指導士 第25回心臓リハビリテーション指導士認定試験講評

出願時に必要な書類

出願する際は、次の書類を漏れなく準備し、クリアファイルにまとめて郵送します。

● 表紙チェックリスト
● 受験・講習会受講申込書
● 所属長または部門長の推薦状
● 医師・看護師など国家資格免許証の写し
● 心リハ研修制度の受験資格認定証(該当者のみ)
● 自験例報告書(10症例をレポートにまとめたもの)
● 受講票用の顔写真(4.5×3.5cm)2枚

出願書類は不足や記載漏れがあると受験不可となるため、十分注意しましょう。

また、締切日は年度ごとに変更されます。公式サイトで最新の情報を必ず確認し、余裕を持ってすること、書留やレターパックなど追跡可能な方法で郵送することが大切です。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心臓リハビリテーション指導士 募集要項

試験前に提出が必要な10症例レポートとは?

10症例レポートは自験例報告書のことで、必須提出書類の1つです。自身が担当した心疾患患者10例のリハビリ介入を時系列でまとめ、指導士としての実践力を示します。

書き方のポイントは、以下のとおりです。

● 症例は虚血性心疾患・心不全など疾患別にバランス良く選出する
● 介入前後のバイタル、運動耐容能、BNP等の客観データを明示する
● 運動処方(負荷量・頻度・中止基準)と生活指導内容を具体的に記載する
● 合併症発生時の対応と安全管理の根拠を示す
● 退院後のフォローアップと再発予防策を考察で提案する
● 引用したガイドラインや論文を末尾に明示し、エビデンスに基づいていることを証明する

フォーマットや略語は学会指定の様式を厳守し、指導医の署名・押印を忘れずに添えて提出しましょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心臓リハビリテーション指導士認定医・上級指導士 心臓リハビリテーション指導士 募集要項4. 5. 6.

心臓リハビリテーション指導士の学習方法

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心臓リハビリテーション指導士試験に合格する近道は、同学会が編集した「心臓リハビリテーション必携」を軸に、ガイドラインや公式研修で知識を自身の中で体系化することです。試験には過去問がなく、運動生理から生活指導まで幅広い基礎力を総合的に問われるためです。

「心臓リハビリテーション必携」を読み込み、章ごとに要点をまとめ、最新のエビデンスに基づく知識を身につけましょう。

また、心リハ看護師対策部会の研修・eラーニングに参加することで、多職種視点と実践的知識を同時に習得できます。

こうしてインプットとアウトプットを繰り返せば、限られた学習時間でも合格に必要な総合力が身につけられるでしょう。

参照元:特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会|心リハ看護師対策部会企画 CPX 講義のお知らせ

心臓リハビリテーション指導士になる2つのメリット

心臓リハビリテーション指導士の資格を取得すると、患者・スタッフへの指導スキルが向上し、多職種との情報共有がスムーズになります。循環器看護領域での活躍の場が広がり、キャリア形成や転職にも有利です。

ここでは、心臓リハビリテーション指導士になるメリットを2つお伝えします。

指導スキルが向上する

心臓リハビリテーション指導士を取得すると、運動や生活指導が「なぜ必要か」まで根拠を示しながら説明できるようになり、患者さんにわかりやすい指導を行えます。
たとえばリハ前に脈拍を測り、「この範囲なら安全に歩けます」と示すことで患者さんの不安を和らげ、リハビリへの参加意欲を高められます。こうした実践は、再発予防にも直結するでしょう。

また、新人看護師やリハビリスタッフに対しても同じ手順で指導ができるようになれば、現場全体の教育力が向上します。

患者さんとチームの双方に信頼される看護師としての評価が高まり、役割の幅も広がることでしょう。

他職種と連携がとりやすい

心臓リハビリテーション指導士の資格取得後は、他職種間の連携が一段とスムーズになります。資格取得にあたって、共通の評価指標や記録様式を学ぶことで、情報共有に迷いが生じにくくなるためです。
たとえば、理学療法士と「歩行時間を10分延長する際の血圧上限」を即座に確認でき、医師への報告も簡潔に済ませられます。

結果として、カンファレンスの時間短縮とケアの質向上が両立し、患者さんへのサポートにより多くの時間を充てられるでしょう。

まとめ

心臓リハビリテーション指導士は、心疾患患者の再発予防と生活支援を担う専門資格です。

受験には、医療資格、同学会の会員歴、講習会の受講、10症例レポートの提出が求められます。合格までの道のりは長いものの、基礎から応用まで幅広い知識を身につけられるため、資格取得後は患者指導の質が向上し、チーム連携も円滑になります。

循環器看護の専門性を強みにキャリアを広げたい人は、計画的に準備を進めましょう。

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