認定看護師として活躍を続けるには、5年ごとに資格の更新手続きをする必要があります。更新には事前の申請や書類提出、審査料の支払いなど、さまざまな手続きを伴います。また、条件を満たさない場合には不合格となる可能性もあるため、事前の準備が重要です。
この記事では、認定看護師の更新方法から必要書類、審査スケジュール、不合格となる主な原因までを詳しく解説します。
認定看護師の資格は更新が必要
認定看護師として活動を続けるためには、資格取得後も定期的な更新手続きが必要です。
日本看護協会では、認定看護師の専門性の維持と実践力の向上を目的に、5年ごとの更新制度を導入しています。制度の概要や更新スケジュール、A課程修了者への対応など、確認すべき点は多岐にわたります。
事前に更新の流れを理解し、計画的に準備を進めましょう。
認定看護師の資格取得を目指している人は、こちらの記事を参考にしてください。
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認定看護師に更新制度が導入された背景
認定看護師制度は1995年に創設され、以来、専門性を持つ看護師の活躍の場は広がってきました。この制度では、認定看護師資格保有者の専門性の維持と実践力の向上を図るべく、資格取得後5年ごとの更新制度を設けています。
更新審査では、実践や研修を通じて、認定看護師として最新の知識と技術を継続的に習得しているかが問われます。
2024年度から始まった厚生労働省の「第8次医療計画」によると、地域全体で医療・看護を支える体制づくりを推進することが示されています。このような医療提供体制の転換を背景に、日本看護協会は、認定看護師が引き続き現場で専門性を発揮できるよう、資格の更新審査の内容や方法を見直すなど、制度改革を進めているのです。
更新の審査は5年ごと
認定看護師の資格保有者は、認定または前回の更新から5年ごとに更新審査を受ける必要があります。更新手続きには期限が設けられており、事前のスケジュール把握が大切です。
主な流れは、以下の通りです。
● 8月中旬~9月上旬:審査書類の提出(オンライン・郵送)
● 11月中旬:合否通知、認定料の振込
● 11月下旬:氏名・施設名の公開登録
● 12月下旬以降:認定証の受領
詳細は、日本看護協会の公式サイトで確認しておきましょう。
参照元:公益社団法人日本看護協会|2025年度第24回 認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き P4
現行A課程の更新審査は今後も実施
認定看護師制度の見直しに伴い、現行のA課程は2025年度末で終了となります。
しかし、A課程を修了した認定看護師に対する更新審査は、引き続き実施されます。資格の有効期間が満了する際には、従来通りの更新手続きが必要です。
制度の見直しにより、更新審査の方法や必要書類に変更が生じる可能性もあります。最新の情報を日本看護協会の公式サイトで確認し、計画的に準備を進めましょう。
認定看護師の更新申請に必要な条件
認定看護師が更新に必要な審査の申請をするには、申請時点で、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
● 過去5年間で、自己研鑽等の実績が50点以上あること
※自己研鑽には研修参加や学会発表などが含まれます。
申請時に休職・離職中であっても、上記2点を満たせば申請可能です。
なお2025年度から「看護実践の実績(看護実践時間2,000時間以上)」の要件は廃止されました。B課程認定看護師への移行を行った場合でも、更新条件や申請書類はA課程と同様です。審査対象となる実績は、申請時点から過去5年間のものです。
認定看護師の更新手続きの流れ
更新手続きは主に4つのステップで構成されており、順を追って進めていきます。
- 個人情報の編集・審査申請
- 審査料の振込
- オンライン審査書類の提出
- 郵送審査書類の提出
それぞれ詳しく見ていきましょう。
個人情報の編集と審査申請
まずは日本看護協会の公式サイトから「資格認定制度 審査申請システム」にログインし、登録されている個人情報(氏名・連絡先・勤務先など)に変更がないかを確認・編集します。
次に、更新審査の申請画面から必要事項を入力し、申請を行います。申請の受付期間は限られているため、申請忘れがないよう事前にスケジュールを確認しておくことが重要です。申請内容に不備があると後続の審査に影響します。入力ミスや記載漏れに注意しましょう。
申請が完了すると、次のステップである審査料の振込に進みます。なお、手続きはすべてシステム上で行うことになるため、パソコンの操作環境を整えておくとスムーズです。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
審査料を振り込む
審査の申請が完了したら、審査料(2025年度:税込30,800円)を期日までに振り込みます。振込手数料は申請者負担です。
振込先は、以下の方法で確認できます。
● 審査申請システムの「申請状況詳細画面」
振込時の注意点は、以下の通りです。
● 施設名や代理人名義での振込は不可
● 振込明細票等の提出は不要(自身で保管)
● 振込明細票は税法上の領収書として使用可能
● 一度納めた審査料の返金は不可
これらの点を事前に確認し、誤りのないよう手続きを行いましょう。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
オンライン審査書類の提出
審査料の振込後、所定のオンライン審査書類「研修実績および研究業績等申告表」を作成・提出します。手続きは審査申請システム上で行います。
提出の際は、記入漏れや誤字脱字がないかを十分に確認し、指示されたフォーマットに従ってアップロードします。
入力中、60分間「保存」を押さないとタイムアウトになるため、適宜保存するようにしましょう。
また、提出期間を過ぎると受付が無効になるため、余裕を持って準備を進める必要があります。オンライン提出は書類審査の基礎となるもので、記載内容を正確に、誠実な内容に仕上げることを心がけましょう。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
郵送審査書類の提出
一部の書類はオンラインでの提出に加え、郵送による提出が必要です。郵送書類には、以下が含まれます。
● 教育従事期間証明書(該当者のみ)
● 研修実績および研究業績等申告表(控え)
● 改姓証明書(旧姓で提出した書類がある場合)
なお看護実践時間証明書および実践報告書の提出は、2025年度から不要となりました。
各書類は、日本看護協会の公式サイトからダウンロードできます。所定の記載内容や押印が求められるため、不備がないよう注意しましょう。
送付用封筒には「認定更新審査書類在中」と明記し、指定された提出先へ期日内に郵送します。郵送は、書留や追跡可能な方法が推奨されています。遅延や紛失に備え、控えのコピーを手元に保管しておくと安心です。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
【オンライン】認定看護師更新に必要な書類
2025年度からの制度改定により、認定看護師の更新審査では、提出書類や記載項目の条件が一部変更されています。
オンライン上で提出する書類で必要なのは「研修実績および研究業績等申告表」です。
申告表には、審査対象期間内における自己研鑽の実績を合計50点以上100点以内で申告する必要があり、100点を超えると書類不備と判断されます。また、Ⅰ群・Ⅱ群の両方に10点以上を配分することが推奨されています。
「自己研鑽の実績として申告する活動がどの項目に該当するか」の判断は申請者自身に求められ、問い合わせは受け付けられません。これも審査対象となるため、しっかり確認する必要があります。
更新審査では、年度ごとの要件に沿った書類を準備することが重要です。審査内容は毎年見直される可能性があります。申請前に必ず日本看護協会の公式サイトで最新の「手引き」を確認しましょう。
参照元:
公益財団法人日本看護協会|認定看護師
公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
【郵送】認定看護師更新に必要な書類
認定看護師の更新審査では、オンライン提出に加えて郵送書類の提出も必要です。申請に必要な様式は日本看護協会の公式サイトからダウンロードし、審査対象期間内の内容で作成・提出します。
不備があると不合格の対象となるため、記載方法や提出ルールをよく確認しましょう。
主な郵送書類は以下の通りです。
書類番号 | 書類名 |
NR-1-1 | 認定更新審査・審査書類確認用紙 |
NR-3 | 研修実績及び研究業績等申告表(『審査申請システム』で出力したもの) |
NR4-1〜4-12 | 自己研鑽等の実績を証明する各種書類(該当する書類のみ提出) |
NR-5 | 改姓を証明する書類(該当者のみ) |
参照元:公益財団法人日本看護協会|申請書類 2025年第24回認定更新審査 審査書類一式(郵送での提出物)
ここからはそれぞれの書類について、詳しく解説します。
認定更新審査・審査書類確認用紙
まずは、提出書類の確認に使用する「認定更新審査・審査書類確認用紙」を作成します。
この用紙には、認定番号・認定年・分野名・氏名を所定の欄に記入し、更新回数に該当する項目へチェックを入れます。認定年は、審査申請システム内の「認定資格一覧」から確認可能です。
さらに、提出書類の不備や不足がないかを確認し、枚数を記入したうえで本人確認欄にチェックを入れます。記載に不備があると審査に進めないため、必ず丁寧に記入しましょう。
詳しくは最新の手引きを参考にしてください。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
研修実績および研究業績等申告表
研修実績および研究業績等申告表は、オンラインで提出した内容と同じものを印刷し、控えとして郵送します。
申請後に表示される「申請確認画面(NR-3)」を出力し、その画面に記載されている順番に従って、対応する証明書類(NR-4)を並べて提出します。証明書と申告内容が対応していない、順番が異なるといった不備があると、審査に影響する可能性があります。提出前に点数の合計や記載漏れがないかも再確認しましょう。
証明書の準備には時間がかかるため、早めに着手することが大切です。詳しくは最新の手引きをご確認ください。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
自己研鑽等の実績を証明する各種書類
実践活動や学術活動など、自己研鑽等に関する実績を証明する各種書類は、必要に応じて提出します。
該当する内容としては、社会活動、研修指導、学会参加・発表、非常勤講師、論文執筆などがあり、それぞれに専用の証明様式があります。
活動ごとの証明書は、「研修実績および研究業績等申告表」の記載内容と順番を一致させて並べる必要があります。証明日や活動時期が審査対象期間内であることを確認し、不備がないよう記載しましょう。
活動の種類によって提出が任意となる場合もあるため、詳細は必ず手引きを確認しましょう。
参照元:
公益財団法人日本看護協会|申請書類 2025年第24回認定更新審査 審査書類一式(郵送での提出物)、公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
改姓を証明する書類
結婚や戸籍変更などにより、認定時と現在で姓が異なる場合は、改姓を証明する書類の提出が必要です。
具体的には、戸籍抄本や住民票など、公的に旧姓と新姓の関係が確認できる書類を準備しましょう。証明書には、改姓の事実と時期が記載されている必要があります。
改姓に関する書類が提出されていないと、認定資格との一致確認ができず、審査に支障をきたすおそれがあります。該当する場合は早めに必要書類を確認し、提出書類とあわせて準備しましょう。詳しくは手引きに記載されています。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
認定看護師の更新審査に落ちる原因
更新審査で不合格となる原因の多くは、以下のような提出ミスや記載不備です。
● 審査対象期間外の活動を申告している
● 提出書類の順番や内容に不備がある
● 提出期間外の消印がある
● 指定された送付方法に沿っていない
いずれも形式的なミスで不合格になる可能性があるため、事前に「手引き」をよく確認し、余裕をもって準備しましょう。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
認定看護師の更新審査に落ちた場合
更新審査に不合格となった場合、認定看護師資格はその年の12月31日をもって失効します。
資格失効後は「認定看護師」と名乗ることはできず、名乗った場合は処分の対象となる可能性があります。ただし、診療報酬上の算定には影響はなく、引き続き要件を満たしていれば算定対象にできます。
なお、資格を再度取得したい場合は、「再認定審査」の申請が必要となります。詳細は、日本看護協会が定める手引きを確認しましょう。
参照元:公益財団法人日本看護協会|2025年度 第24回認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き
まとめ
認定看護師として専門性を維持し続けるためには、5年ごとの更新審査に向けた計画的な準備が欠かせません。申請条件や提出書類、審査の流れを正しく把握し、期限内に正確な書類を揃えることが合格への第一歩です。
認定看護師の更新審査では、毎年制度や必要書類が見直される可能性があります。スムーズな更新申請と今後のキャリア形成につなげるために、最新の手引きを確認することを忘れないようにしましょう。
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