転職を検討している看護師の多くは、面接試験に対して不安や疑問を抱いていることでしょう。事前の準備が不十分のまま面接に臨んでしまうと、あなたの魅力が十分に伝わりきらず、不採用となってしまうおそれがあります。
今回の記事では面接対策の基礎知識やよく聞かれる質問、その回答例について紹介します。
まずはチェック!看護師の面接前にしておくべき準備

ここでは、看護師が面接前にしておく準備について、解説します。
当日の持ち物
当日の持ち物の準備は、前日までに済ませておくようにしましょう。当日になって慌てて準備することで、忘れ物をしたり面接に遅刻したりしてしまっては本末転倒です。
面接当日の持ち物は、主に以下の通りです。
● 看護師免許証のコピー
● 筆記用具
● メモ帳
● 印鑑
● 腕時計
● 傘
そのほか、応募先から指定されているものがあれば、忘れずに持参するようにしましょう。
身だしなみ
身だしなみをはじめ、第一印象は面接結果を左右する重要なポイントのひとつです。
第一印象で好感を抱いてもらえず、内定を勝ち取れないといったことがないように、身だしなみはきちんと整えましょう。
スーツは黒やグレー系、ネイビー系などの落ち着いた色を選びます。黒はリクルートスーツに見られることがあるため、ある程度社会人経験のある人は避けましょう。
靴はスーツに合わせて革靴や低めのパンプスを選びます。移動距離が長くなったり、慣れない道で迷ったりすることも想定し、たくさん歩いても足が痛くならない靴を選びましょう。またかばんはA4サイズの書類が収まるものがベストです。
メイクは華美になりすぎず、血色がよく見えるように“ナチュラルメイク”を心がけましょう。
【回答例】看護師の面接でよくある12の質問

ここでは、実際の面接で聞かれる質問について、回答例を交えながら解説します。
自己紹介をお願いします
自己紹介は面接の最初に必ず求められるものです。
これまでの経歴とセットで聞かれることも多く、あなたの印象を決める重要な質問です。端的にしっかりと答えることを意識しましょう。

「簡単に自己紹介をお願いします」
「あなたの名前とこれまでの経歴をお聞かせください」
「これまでの看護師経験を簡単に教えてください」

〇〇と申します。□□看護学校卒業後、これまで△△病院の外科領域で〇年の臨床経験を積みました。今後は高齢者のサポートをメインでしていきたいと考えており、老年医療や認知症ケアに力を入れている貴院を志望いたしました
転職(退職)理由を教えてください
転職(退職)理由を聞かれた際、待遇や人間関係などへの不満だったとしても、前の職場を悪く言わないように注意しましょう。
前職の悪口と捉えかねない回答をすると、「同様のことが起きたら、またすぐに辞めてしまうのではないか」と思われてしまいます。
そのため、「自分がやりたいことを実現するには転職が必要だった」というように、前向きな理由に置き換えて伝えることを意識しましょう。

以前の職場では、急性期の看護技術や知識を一通り身につけるとともに、緩和ケア領域にも携わることができました。さらなるスキルアップを図るために、より設備や教育環境が充実している貴院へ転職したく、退職を決意しました。
志望動機を教えてください
志望動機を伝える際は、志望先にだけ当てはまる内容にすることが大切です。そのためにも、転職希望先の病院に関する情報収集は入念に行いましょう。
またその病院独自の取り組みや経営理念に共感できるところがあれば、それを志望動機に盛り込むとよいでしょう。

これまで、救急外来で5年間、経験を積んできました。逼迫した状況で的確な判断を下すこと、患者さんの容体を短時間で把握し、細かな変化も見逃さないことを心がけておりました。貴院では、患者さん一人ひとりに寄り添った医療の提供をモットーにされており、患者さんだけでなく、ご家族のケアにも力を入れていると伺いました。これまで培った経験を活かし、貴院に貢献したいと思い、志望いたしました。
長所・短所を教えてください
面接の場で長所や短所を質問されるのには、「応募者の人柄を知りたい」といったことが挙げられます。面接官は、応募者の長所だけでなく、短所を自覚し、それとどう向き合っているのかを知りたがっています。
長所・短所を述べるときのポイントはそれぞれ以下のとおりです。
● 短所:努力によって改善できることを伝える
また「短所はとくにありません」という答えでは、自己分析不足と見なされかねません。
必ず短所についても回答しましょう。

【長所の回答例】
私の長所は、人の気持ちに敏感なところです。
患者さんの不安な気持ちにいち早く気づき、適切なケアを講じることができます。また周りからも患者さんとの信頼関係を築くのが上手だと褒められることがたびたびあります。

私の短所は気にしすぎてしまうところです。
人の気持ちに敏感である一方、細かいところまで気になりすぎてしまうため、それは本当にいまやるべきことなのか、確認すべきことなのかを都度判断し、優先順位をつけて仕事に臨むようにしています。
あなたの看護観を教えてください
看護観を問われた際は、あなたが看護師として大切にしていることを述べるようにしましょう。
過去の経験をもとに整理すると、自身の看護観がより明確になります。これまでの看護師経験のなかで嬉しかったこと、やりがいを感じた記憶を思い出してみるとよいでしょう。

私は患者さんの真意をくみ取り、その方にとって適切な看護を提供することが大切だと考えています。
総合病院で勤務していた際、患者さんの背中のボタンが止まっていないことに気づき、そっと手直ししました。そのとき、とても嬉しそうな顔をしてくださり、看護にとどまらず患者さんの気持ちに寄り添うことの大切さを実感しました。
インシデントの経験はありますか?
看護師は必ずといっていいほど、一度はインシデントを経験しているものです。面接官はインシデントの経験を聞くにあたり、あなたが問題に直面した際、どう対処するかを判断しています。
そのため、この質問に対しては「具体的なエピソード」と、「そこから得られた気づき・対処法」を伝えるようにしましょう。

看護師2年目のとき、点滴の投与速度を変更し忘れることがありました。
幸い大事には至りませんでしたが、それまで私はほかの同期と比べてインシデント件数も少なく、どこかで自分は大丈夫だと思っていたことを深く反省しました。以降は指さし確認を徹底しています。
仕事で成果がでた(うまくいかなかった)経験を教えてください
仕事での成功体験や失敗体験は、面接でよく聞かれる質問のひとつです。
この質問をすることで、面接官はあなたの問題解決能力や成長意欲を見極めようとしています。成功体験・失敗体験のどちらを聞かれても、「具体的なエピソード」と「そこから学んだこと・改善したこと」を答えましょう。
成功体験では仕事への取り組み姿勢を、失敗体験では課題の解決・改善への意識をアピールします。偽りや誇張は避け、「そこから何を学び、どう成長したか」を伝えることが大切です。

ICUで働いていた頃の出来事です。人工呼吸器を装着した患者さんが不安から興奮状態になることが続いていました。筆談ボードを使って患者さんの気持ちを聞き取るようにすると、家族への心配が強いことがわかりました。医師と相談して面会時間を調整した結果、患者さんの精神状態が安定し、治療にも前向きに取り組んでもらえるようになりました。
この経験から、患者さんの声にならない思いを汲み取ることを大切にしています。

新人の頃、業務に追われて患者さんへの説明が不十分になってしまったことがありました。検査前の説明を簡潔に済ませてしまい、患者さんから『どんな検査なのか不安』とお声をいただきました。
それ以降は、検査の内容や流れを分かりやすく説明する工夫の仕方を身につけ、現在は、患者さんの理解度を確認しながら、丁寧な説明を心がけています。
当院は第一志望ですか?
面接では、志望順位や他の病院での選考状況について聞かれることがあります。

「当院で働きたいという気持ちはどのくらいですか」
「他に選考を受けている病院はありますか」
この質問は、志望度の高さや他の選考状況を確認するために聞かれます。
“第一志望”と答えるのが自然ですが、事実と異なる場合は正直に答えても問題ありません。その場合は、応募先の病院を選ぶ具体的な理由を伝えることで、志望度の高さをアピールできます。

【回答例】
はい、第一志望です。貴院の『患者さん一人ひとりに寄り添う医療』という理念に強く共感し、ぜひこちらで働かせていただきたいと考えています。
小児科での勤務を希望しており、他にも2つの病院で選考を受けていますが、教育体制が充実している貴院が第一志望です。
休みの日は何をして過ごしていますか?
面接では、仕事に関する質問だけでなく、プライベートの過ごし方について聞かれることもあるでしょう。
看護師の仕事は心身の負担が大きいため、面接官はこの質問を通じて、あなたが適切に休息やリフレッシュができているかを確認しようとしています。同時に、人柄や習慣を知る目的もあります。
具体的な過ごし方を伝え、それが仕事にどのようにプラスになっているかまで話せると、仕事への熱意を伝えられるでしょう。

読書や映画鑑賞を楽しんでいます。とくに医療をテーマにした作品は、患者さんやご家族の視点から医療を考えるきっかけになっています

友人とカフェ巡りをしたり、ヨガでリフレッシュしたりしています。心身ともにリセットすることで、仕事にも集中して取り組めています
結婚や出産の予定はありますか?
結婚や出産の予定について質問されることもあるでしょう。
本来、この質問は個人のプライバシーに関わるため、避けられることが多いものです。万が一聞かれた場合には、具体的に答える必要はありません。
仕事への意欲を示すことで、採用担当者の懸念を払しょくできます。

将来的には考えていますが、現在は看護師としてのスキルアップを最優先にしたいと思っています。そのために、目の前の仕事にしっかりと取り組んでいきます
健康状態に問題はありますか?
健康状態に関する質問もプライベートな内容ですが、聞かれた場合は、長期的に勤務できる状態であると伝えることが大切です。
持病がある人は、業務に支障がない点と、適切な管理ができている点を伝えましょう。

【回答例1】
現在、健康状態に問題はありません。定期的に健康診断も受けており、仕事に支障をきたすことはありません。

以前は体調を崩したこともありましたが、生活習慣を見直し、現在は主治医からも復職に問題はないと診断されています。長期間安定して働けます。
離職中は何をしていましたか?
ブランクがある場合、その期間の過ごし方について聞かれることがあります。離職理由に応じて回答しましょう。
<結婚・出産・介護などライフステージの変化による場合>
正直に理由を伝え、復職への意欲と準備について具体的に説明しましょう。

【回答例】
出産・育児のため5年間臨床から離れていました。子どもが小学校に入学し、育児と仕事の両立ができる環境が整ったため、復職を決意しました。
ブランクを埋めるために、看護技術の復習や最新の医療情報の収集に努めています。
<体調不良で離職した場合>
現在は回復していることを伝え、再発防止への取り組みを説明しましょう。

体調を崩して療養に専念していましたが、現在は主治医から復職の許可をもらっており、健康状態に問題はありません。休養中は規則正しい生活を心がけ、体調管理の方法を見直しました。
現在は体調管理のコツを身につけており、長期間安定して働く自信があります。
<自分の時間を有効活用していた場合>
単なる休暇ではなく、自己投資や成長につながる活動として伝えることが重要です。

海外でボランティア活動に参加していました。現地での医療支援に関わる機会もあり、日本とは異なる医療環境での看護を経験したことで、柔軟な対応力の重要性を実感しました。
この経験を活かし、より幅広い視点で患者さんに寄り添える看護師になりたいと考えています。
採用される面接のポイントは「逆質問」と「情報収集」

ここでは“逆質問” と“情報収集” について解説します。
逆質問
逆質問は、志望先の病院への興味や相性の確認、説明不足や認識齟齬の解消、コミュニケーション能力のチェックといった目的で行われます。
志望先に対し、疑問に思っていることを直接質問できる機会でもあるため、「とくにありません」と答えるのは避けましょう。
また、逆質問の際は募集内容に書かれている情報を聞くと、「事前に情報収集をしていない」と判断されることがあります。質問内容には十分注意しましょう。

「貴院では具体的にどのような方が活躍されていますか」
「スキルや経験以外で看護師に求めていることはありますか」
「もし採用していただける場合、事前に準備しておくことはありますか」
応募先の情報収集
履歴書や職務経歴書を作成する際に、応募先の情報収集はしていることでしょう。とはいえ面接前に、再度きちんと調べておくようにしましょう。
また、その際に病院の理念や特徴、看護部の方針といった事項は必ず押さえておくことが大切です。
入社後どのように貢献したいのかを説明できると、意欲や熱意を伝えることができます。
まとめ
今回の記事では、転職活動を行ううえで避けて通れない面接試験の基礎知識について紹介するとともに、当日の受け答えに関しても、具体例を交えながら対策方法を解説しました。
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