既往歴とは?既往症・持病との違いや書き方も解説

既往歴とは?既往症・持病との違いや書き方も解説

履歴書を作る際に記載が必要な情報のひとつ“既往歴”。就職・転職活動で記載するにあたり、どこまで書けばよいのか分からない人も多いのではないでしょうか。また既往歴という言葉の定義自体、あいまいだという人もいるかもしれません。

この記事では、既往歴について履歴書に記載する際のポイントを解説します。履歴書以外で申告が求められる場面についても紹介しているので、参考にしてみてください。

既往歴とは?

既往歴とは?

既往歴(読み方:きおうれき)とは、これまでにかかって完治した病気やケガの履歴のことです。

既往歴に記載するのは、大きな病気やケガ、手術などで、場面によっては、出産経験やアレルギーの有無も含まれます。ただし風邪や腹痛など日常的にかかる病気で、後遺症のないものは既往歴に含まれません。

既往症との違い

既往歴と“既往症”はいずれも、これまでにかかった病気のことを指し、両者のあいだに大きな意味の違いはありません。履歴書をはじめとする書類の記入欄の名称が“既往症”でも、既往歴と同じ内容を記しましょう。

ただ保険加入時の書類などでは、既往歴は「これまでかかった病気の履歴」、既往症は「これまでかかった病気そのもの」と解釈が細かく分かれているケースも見受けられます。

現病歴との違い

既往歴と“現病歴”の違いは、病気を発症した時期によります。

既往歴が過去にかかった病気であるのに対し、現病歴は現在かかっている病気を指します。過去にかかった病気が現在も続いている場合は、現病歴として記載します。一方、既往歴にはすでに完治している病気を記載します。

持病との違い

“持病”は現在かかっている病気のことで、現病歴と意味合いは同じです。持病のうち、慢性疾患のように経過の長い病気の多くは、厚生労働省の基礎疾患に指定されています。

厚労省では以下に該当する人を「基礎疾患を有する者」と定義しています。

1. 以下の病気や状態にあり、通院または入院している人
慢性の呼吸器疾患, 慢性の心臓病(高血圧を含む), 慢性の腎臓病, 慢性の肝臓病, 治療中または合併症のある糖尿病, 血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く) 免疫機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む), ステロイドなど免疫機能を低下させる治療を受けている, 免疫異常にともなう神経疾患や神経筋疾患, 神経疾患や神経筋疾患により身体機能が衰えた状態, 染色体異常, 重症心身障害, 睡眠時無呼吸症候群, 重い精神疾患や知的障害(※)
※同疾患や障害があり、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳をもつ人は通院・入院をしていなくても基礎疾患を有する者に該当

2. BMI 30以上の肥満の人

参考:厚生労働省/基礎疾患を有する者

既往歴の記載が求められる場面

既往歴の記載が求められる場面

既往歴の記載が必要な場面はいくつかあり、シーンにより既往歴の範囲が広くなります。具体的にみていきましょう。

履歴書の提出時

就職や転職活動で履歴書を作成する際には、既往歴の記載が必要になります。企業が応募者に既往歴の申告を求める理由は、応募者の健康状態により業務に影響が出ないかを判断するためです。

既往歴を正直に記載したからといって、採用選考で不利になることはありません。面接時に既往歴や現病歴についてきちんと伝えることで、業務上で配慮されるケースも多くあります。しっかり記載しましょう。

生命保険の加入時

生命保険の加入時は既往歴の申告が必須です。生命保険への加入にあたって既往歴の情報が必要なのは、保険会社が保険加入者の健康リスクについて知るためです。

保険加入者が申告した既往歴をもとに、保険会社は保険の加入要件を満たしているか審査します。また保険金の不正請求を防止し、公平性を保つ側面もあります。

保険加入者には既往歴の告知義務があります。きちんと告知しなかったり、虚偽の申告をしたりすると保険金の支払われないため、注意しましょう。

健康診断の受診時

健康診断の受診時にも既往歴の記載が求められます。過去の病気が現在の健康状態に影響を与えていることもあります。医師が現在の健康状態を把握し、適切な診療を行うのに重要なため、もれなく申告しましょう。

履歴書の“健康状態”欄の書き方

履歴書の“健康状態”欄の書き方

看護師が就職・転職活動をする際には、履歴書に既往歴を記入する必要があります。記入欄は“健康状態”と書かれていることが多く、一般的に現病歴と合わせて、既往歴も記します。

ここでは、既往歴の記入方法についてみていきましょう。

①健康状態が良好な場合

既往歴や持病がとくになく、健康状態に問題がない場合は「良好」と記載しましょう。

②既往歴はあるが業務に支障がない場合

既往歴はあるものの、現在は完治している場合は、既往歴に具体的な病名を記載したうえで、現在の健康状態が良好である旨を記載しましょう。

③既往歴もしくは持病がある場合

既往歴や持病があり、業務に支障をきたす可能性がある場合は、既往歴と現病歴または健康状態を記載し、具体的な内容についても記します。ここからは記載例についてみていきましょう。

業務を行う上で周囲の配慮が必要な場合

既往歴や持病のある看護師のなかには、業務をするのに配慮を受けなければいけない人もいるでしょう。一部の業務に配慮が必要な場合の記載例は以下です。

良好
(基本的に業務に支障はありませんが、腰痛があるため体位変換時は2人以上で行う必要があります。)

業務に支障をきたす可能性がある場合

既往歴や持病があることで、業務に支障をきたす可能性がある場合は、履歴書の健康状態欄に以下のように記載します。

〇〇年〇月に「病名」を発症し、数か月に1度の定期受診が必要です。休日に受診予約が取れない場合は、該当日に休暇取得を希望いたします。

既往歴や持病は採用選考に影響する?

既往歴や持病は採用選考に影響する?

看護師として業務を遂行できるのであれば、既往歴や持病の有無が採用結果に負の影響を与えることはありません。ただし既往歴や持病の内容によっては、面談時に詳しく質問されるでしょう。

既往歴や持病があることで、採用担当者に「業務遂行に大きな影響が出る」と判断されてしまうこともあるかもしれません。しかし業務遂行に多少の影響があっても、それを上回る能力やスキルがあるとアピールできれば、採用される可能性は高まります。

“健康状態”欄は必ず記載しよう

看護師が就職・転職活動で履歴書を提出するときは、必ず健康状態欄を記載しましょう。基本的に履歴書はすべての項目を埋める必要があります。

採用に不利になることを心配して、既往歴や持病を隠したり、虚偽の申告をしたりするのは良くありません。自分の既往歴や持病に触れずに採用されたとしても、業務に支障がでたり、健康診断で明らかになったりすることもあるためです。

既往歴があると保険に加入できない?

既往歴があると生命保険に加入できないと考えている人は多いのではないでしょうか。生命保険は健康な人が加入するのが原則で、保険の種類や既往歴によっては、加入できないことがあります。

とはいえすべての保険に加入できないというわけではなく、既往歴があっても加入できるものもあります。保険に加入する際には、既往歴を偽りなく申告しましょう。

まとめ

既往歴とは、過去にかかったことのある病気のことで、すでに完治しているものを指します。就職・転職活動の履歴書を提出する際、また保険加入や健康診断受診時に申告が必要で、場面によっては手術歴や妊娠歴なども含まれます。

既往歴が問われるのには、業務を遂行できるかの判断、健康状態の把握など、さまざまな目的があります。既往歴の記載や申告が必要なときは、正しい情報を偽りなく記載または申告しましょう。

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参考:「病院の言葉」を分かりやすくする提案/35.既往歴(きおうれき)

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