「職場でいじめに合っているかも?」と悩んでいませんか?看護師の職場は閉鎖的な環境のところが多く、ストレスを感じやすいことから、いじめが発生することがあります。また自分が意識していなくても、相手を傷つけてしまうこともあるでしょう。
本記事では、看護師の職場で起こるいじめやその対処法について解説します。
職場のいじめで悩んでいる看護師、いじめに心当りのある看護師は参考にしてください。
看護師の職場でいじめが起こる原因
優しいイメージのある看護師ですが、他職種と同じように看護師の職場でもいじめは起こりえます。むしろ、自身の業務が患者さんの命に関わるというプレッシャー、慢性的な人手不足による余裕のなさにより、職場でのいじめは多い傾向にあります。
ここでは、看護師のあいだでいじめが起こる原因についてみていきましょう。
仕事がハードで心に余裕がなくなる
看護師の職場間のいじめが多い原因のひとつに、過酷な労働環境が挙げられます。看護師の仕事は業務量が多く、夜勤もあるため、気持ちの余裕がなくなりやすいものです。
冷静さを欠いてしまい、他の看護師に対して、感情的な態度をとってしまうこともあるでしょう。なかには、相手に圧力をかけることで、快感を得たり、ストレス発散をしたりする人もいます。
責任の重さから指導が行き過ぎる
看護師のいじめ問題の原因のひとつには、仕事に対する責任の重さも深く関係しています。看護師の仕事は、患者さんの命と直結するものです。
とくに経験の浅い看護師は、仕事でミスを犯しやすく、先輩看護師から強い叱責を受けることも少なくありません。先輩看護師の叱責が厳しいものになると、指導を受けた看護師は、「いじめや嫌がらせを受けた」とネガティブに感じることもあるでしょう。
またミスや失敗が重なり、周囲の看護師に負担や迷惑がかかると、職場内でいじめが起こるきっかけになります。
職場の雰囲気が閉鎖的でなじみにくい
看護師の職場は閉鎖的になりやすく、いじめを引き起こしやすい環境だといえます。病棟など多くの部署ではシフト制であるものの、毎日顔なじみのスタッフが働いています。また他部署との関わりが少ないこともあり、在籍歴の長いスタッフの発言力が高くなりがちです。
古参のメンバー間の結託力も強く、新顔の看護師にとって、一層なじみにくい環境といえるでしょう。部署内でコミュニケーションが不十分になると、職場の問題解決がむずかしくなります。その結果、ストレスや不満を抱きやすくなり、捌け口として同僚へのいじめが発生してしまうのです。
看護師が受けるいじめの具体例
看護師がいじめを受けたと感じる場面にはさまざまあるものの、いじめと気づかないこともあります。具体例についてみてきましょう。
上司や先輩からパワハラを受ける
看護師のいじめのひとつに、上司や先輩看護師からのパワハラがあります。業務上の優位性を盾に相手に精神的苦痛を与えるような行為は“パワハラ”と呼ばれ、いじめや嫌がらせに該当します。
とくにパワハラによるいじめのターゲットとなりやすいのが、経験の少ない若手の看護師です。リーダーや副師長以上の看護師が関わると、いじめが部署全体に広がることもあります。
若い看護師は強い叱責や陰口をしつこく受けても、反抗的な態度を示せないことが多く、上司や先輩からのいじめがエスカレートしやすい特徴があります。
あいさつや声かけを無視される
看護師の初歩的ないじめに、あいさつや声かけの無視があります。あいさつや声かけは、対人コミュニケーションの基本となるものです。あいさつを無視することは、相手が存在していないかのように扱うのと同然であり、人格否定につながります。
また、業務で必要な声かけまで無視されると、いじめを受けている看護師も、報告や相談をしにくくなります。職場内の情報伝達が不十分になることで、業務に支障がでたり医療ミスが発生したりする原因にもなります。
悪口・陰口を言われる
看護師は女性の割合が高く、異性の目がないことで、悪口や陰口を言われるといったいじめも多いようです。悪口や陰口は本人がいない所だけでなく、皆の目の前で堂々と言われることもあります。
悪口や陰口を言うのが特定の人であっても、けん制する人が少ないケースもあるでしょう。こういった場面では次第に仲間内で意気投合してしまい、職場内のいじめへ発展しやすくなります。いじめの対象となった看護師が仲間外れにされることで、精神的に追い詰められ、休職や離職に至ることもあります。
必要以上にミスを叱責される
看護師のいじめのなかには、仕事上のミスをしつこく注意されるケースが多々みられます。看護師の業務は患者さんの命に関わるため、ミスを犯したときに指導を受けることはよくあります。
しかし「あなたのせいで患者さんが死んだ」など、相手を追い詰めるような言葉を浴びせること、失敗した看護師を泣くまで質問攻めにするようなことは、行き過ぎた指導にほかなりません。患者さんへの影響が少ない小さなミスでも執拗に怒られたり、時間外に呼び出しを受けたりするのも立派ないじめです。
性格・容姿に関する口出しをされる
看護師間のいじめでは、性格や容姿について口を出されるという類いのものもあります。仕事以外での口出しは、相手の人格否定に相当します。
仕事上のダメ出しは、いじめかどうかの判断がむずかしいことがあります。しかし、最低限の身だしなみやあいさつをしているのにもかかわらず、性格や容姿について悪く言われる場合は、いじめであると自覚しましょう。
私物を隠される
看護師のなかには、いじめにより自分の持ち物を隠されてしまう人もいます。こういったいじめは私物が見つからず、当事者が困った様子をみるのを楽しむ目的で行われます。
隠される私物の多くは、ボールペンや印鑑など、ふだんの業務で使用するものです。悪質なケースでは、相手の私物を破壊したり盗んだりする例もあるようです。
いじめにあわないための対策
看護師が職場でいじめや嫌がらせを受けないためには、ふだんから立ち回りを工夫することが大切です。残念なことですが、職場のいじめを受けてしまう看護師には、いくつかの共通点があります。
ここからはいじめにあわないための具体策を紹介します。
自分からあいさつをする
職場のいじめを避けるために、自分から積極的にあいさつをするようにしましょう。あいさつは、人間関係を築くのに基本となるものです。若手の看護師の場合、先輩看護師へあいさつするのが苦手と感じる人もいるでしょう。
上下関係が厳しい職場ではとくに、あいさつをしない看護師は、「先輩を無視した」「暗い」といったネガティブな印象を持たれやすくなります。職場の人間関係を良好に保つために、明るくあいさつや声かけをするようにしましょう。
何かをしてもらった時は感謝の気持ちを伝える
先輩看護師や他の看護師にフォローやサポートをしてもらったときは、きちんと感謝の意を示しましょう。とくに若手看護師の場合、自分の業務にいっぱいいっぱいで、先輩看護師にフォローやサポートを受けても、お礼の言葉を伝え忘れてしまうことがあります。
お礼を言わないと、相手に「手伝うのが当たり前と思われている」と不快な思いを抱かせ、その後の人間関係に悪影響を及ぼします。フォローやサポートは、相手の時間や労力を費やすものです。自分の業務を手伝ってもらったときは、その場で感謝の気持ちを伝えましょう。
仕事に対して意欲的な姿勢をみせる
看護師がいじめを避けるには、意欲的に仕事に取り組むことが大切です。仕事を覚えるのが遅い看護師は、いじめのターゲットになりやすい傾向があります。いつまでも仕事ができないと、周りの負担を増やし、批判対象になりやすいためです。
経験の浅い看護師は、一人で完結できない業務も多いでしょう。そういった状況のなかでも、分からないことを自主的に学び、先輩看護師にアドバイスを求めることが大切です。そうしたやり取りのなかで、相手に仕事への意欲が伝われば、できないなりに一目置かれるものです。コミュニケーションが深まることで、いじめの対象になりにくくなります。
常に笑顔を心がける
看護師が職場のいじめを避けるには、いつも笑顔でいることが大切です。笑顔でいれば、相手や周囲に明るい雰囲気が伝わります。
とくに大人しい性格の看護師は、いじめの対象になりやすい傾向にあります。毎日笑顔を心がけて、明るい印象を与え、いじめを寄せ付けないようにしましょう。
いじめが理由で辞めたいと感じる場合の対処法
看護師のなかには、職場のいじめに遭って悩んでいる人もいるでしょう。上記で紹介した対策をしても、いじめが続く場合もあるかもしれません。すでにいじめに遭っている看護師が行える対策は、次のとおりです。
信頼できる上司に相談する
看護師が職場でいじめに遭っている場合は、まずは上司に相談しましょう。リーダーや副師長以上の看護師に相談することで、いじめの解消に向けた働きかけをしてもらえることがあります。具体的には、当事者から事情を聞く、いじめをしている看護師をけん制する、職場の雰囲気の改善に努めるといったことです。
ただ看護師のなかには、上司を含めて職場ぐるみのいじめを受けている看護師もいます。このような場合は、看護部長のいる看護管理部門に相談しましょう。
メンタルクリニックを受診する
いじめにより強い精神的苦痛を感じている人は、メンタルクリニックを受診するのもよいでしょう。いじめを受けている看護師のなかには、毎日仕事へ行くのがつらく感じる人もいるかもしれません。いじめにより、「夜眠れない」「出勤前にお腹が痛くなる」など、心身に症状が出ている場合には、なおさら医療機関の受診をおすすめします。
メンタルクリニックでは、いじめの被害者に対する診療やアドバイスも行っています。医師に話をしたり、必要な治療を受けたりすることで、心のダメージの回復を図れます。
労働局に相談する
部署や院内に助けを求めても、いじめの解決に至らないときは、労働局へ相談しましょう。労働局は都道府県に設置された公的機関で、雇用安定への取り組みの一環として、労働環境の改善も行っています。相談窓口では、パワハラやいじめ、嫌がらせの相談にも応じています。
いじめを解決するためのアドバイスを受けられるだけでなく、必要に応じて職場への事実関係の確認や働きかけもしてもらえます。相談は無料で匿名でも行えるので、利用してみるとよいでしょう。
異動の希望を出す
職場のいじめが続く場合は、部署異動の希望を出すのもおすすめです。自分のいる環境を一新することで、いじめの悩みが解決します。部署異動の場合、加害者の看護師と院内で顔合わせることはありますが、一緒に業務を行わなくなれば、自分への影響はほとんどなくなります。
人員配置の問題により、部署異動は希望を出してすぐに行われるものではありません。いじめにより今の職場で働くのが困難に感じる人は、早めに異動希望を出すようにしましょう。
転職を検討する
いじめをつらく感じている看護師は、転職を検討するのもよいでしょう。職場を変えれば、いじめを受けていた人と顔を合わせずに、新しいスタートを切ることができます。
また看護師のいじめには、その労働環境も関係しています。「業務に余裕がある」「職場の雰囲気がよい」といった、いじめが起こりにくい職場を選ぶことで、新天地でいじめを受けるのを避けられます。
まとめ
看護師の職場は、過酷な労働環境によりストレスが溜まりやすく、いじめが発生しやすい特徴があります。いじめを受けないためには、明るく振る舞う、仕事を覚えるといったことがポイントです。
一方で、職場で一度いじめが発生すると、長期間定着してしまい、被害者本人が追い込まれてしまうことも少なくありません。記事内で紹介した対策をしても、いじめの解決に至らない場合は、異動希望や転職など早めに行動しましょう。
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参考:
聖路加国際大学学術情報リポジトリ/2022年度聖路加国際大学大学院看護学研究科 修士論文
医労連/2017年 看護職員の労働実態 調査結果報告
厚生労働省/総合労働相談コーナーのご案内