看護師が離職を希望するときに伝える退職理由。職場の上司である看護師長に退職の意思を申し出る際には、職場を辞めたい理由について必ず聞かれます。また転職先の採用試験では、面接官に前の職場を退職した理由を聞かれることも多くあります。
そこで、看護師に多くみられる退職理由や、職場の上司や面接官への伝え方のポイントについて解説します。適切な退職理由を考えられなくて悩んでいる人は、参考にしてみてください。
看護師のおもな退職理由
看護師が退職を決心する理由はいくつかあります。ここでは、看護師の代表的な退職理由についてみてきましょう。
結婚・出産
結婚や出産などライフステージの変化をきっかけに、現在の職場を辞める看護師は多くいます。結婚を機に県外へ引っ越すことになったり、出産後の数年間は子育てに専念したいと考えたりする人が多いためです。
また、結婚を理由に今の職場を退職する場合、仕事と家庭の両立がしやすい職場への転職を希望することもあるでしょう。このような場合、退職は一時的で、すぐに看護師として働き始めるケースもみられます。
人間関係
看護師は、患者さんや同僚看護師、医師などさまざまな人と関わる仕事です。人間関係が上手くいかないと日々の業務に影響が出たり、仕事が終わった後にも悩む時間が増えたりし、退職を意識しやすくなります。
特に人間関係で悩みを抱えやすいのが、看護師同士の関係です。毎日働くメンバーに変わりがないと、苦手に感じる相手と長く一緒に仕事をしなければなりません。精神的なストレスが大きくなることで、看護師は退職を考えやすくなります。
待遇への不満
看護師としての業務内容には満足していても、職場での待遇が悪いと退職を意識するようになります。看護師が待遇に不満を抱きやすい例には、残業が多い・給料が少ない等が挙げられます。
人間関係の悩みが理由であれば、自分の努力によって問題を解決できることもあるでしょう。一方、待遇面は病院の体制の問題です。個人の意見だけで変えることは難しく、退職により解決しようと考える人もいるでしょう。
現職の上司への退職理由の上手な伝え方
仕事を辞める前には、看護師長など上司に退職する理由を伝える必要があります。病院やクリニックは看護師不足のところも多く、退職する旨を伝えにくいと感じる人もいるかもしれません。
ここでは、職場の上司に退職する理由を伝えるときのポイントについてみていきましょう。
引き止めにくい理由にする
看護師同士の人間関係の問題を理由に退職を申し出ても、看護師長から引き止められる可能性があります。新人看護師であればプリセプターを変更したり、部署の配置変更をしたりするなどの提案を受けることがほとんどです。
現在の職場をどうしても辞めたくても、人間関係だけを理由にすると退職できないことがあります。人間関係が原因で職場を退職したい人も、「引き止めるのが難しい」と思わせるような理由を考えてみましょう。
退職理由をそのまま伝える
結婚や出産などライフイベントによる退職者は、毎年一定数存在します。その場合は、同僚の看護師や職場自体に不満があるわけではないため、そのまま理由を伝えればよいでしょう。
年度途中に退職者が出ると、看護師長の管理者としての評価が下がったり、シフトを組むのが難しくなったりするため、引き止められやすくなります。しかし、結婚や出産による退職は計画的に仕事を辞める人が多く、看護師長から強く引き止められることはありません。
人間関係に不満がある場合は、年度途中で退職を選ぶ人もいるでしょう。実際に起こった問題など事実に基づいた理由を伝えて、退職の意思をはっきりと示しましょう。
詳細を伝える必要はない
退職を申し出る際には、必ず詳細の理由に話さなければいけないというわけではありません。場合によっては、あえて詳細を言わないことも選択肢の一つです。
例えば、上司との関係悪化を理由に職場を辞めるのであれば、詳細に伝え過ぎないよう方がよいでしょう。事細かに内容を話せば、退職まで揉めるリスクがあります。
面接時に退職理由を印象良く伝えるポイント
転職活動の面接では、前の職場を辞めた理由について質問を受けることがあります。ここでは、採用担当者に退職理由を伝えるときのコツについてみていきましょう。
ポジティブな表現で伝える
前の職場を辞めた理由によっては、正直に内容を伝えると相手に悪い印象を与えてしまうことがあります。面接官に退職理由を伝えるときは、ポジティブな表現に言い換えるようにしましょう。
また、職場を辞めた理由は転職先の志望動機にもつながるものです。前の職場を退職した理由をポジティブな表現に言い換えて伝えると、前向きな志望動機になります。採用担当者に好印象を与えられれば、良い結果につながるでしょう。
退職理由に一貫性を持たせる
看護師が短期間で何度も退職を繰り返していると、各職場を辞めた理由について聞かれることがあります。採用試験の面接の際に、退職理由の一貫性がないと、「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」と思われてしまいます。
複数の退職歴がある人は、それぞれの退職理由がつながるようなストーリーを考えておくのがおすすめです。
前職の不満を言わない
前の職場を辞めた理由が看護師同士の人間関係や待遇の悪さだったとしても、前職の不満や悪口を言うのは避けるのが賢明です。転職先から「本人が不満を抱えやすい傾向がある」と捉えられてしまうことがあるからです。
面接官に前の職場の退職理由について深く聞かれたときも、ポジティブな内容に言い換えることが大切です。不平や不満は避け、自分にとって不利な印象を与えないようにしましょう。
退職理由を伝える例文
仕事を辞める理由は、看護師長に対してと面接官に対して少し内容を変えるのがおすすめです。ここでは、病院を辞めるときと転職活動時の2つの状況に合わせた例文を紹介します。
結婚・出産
年度中の退職は、看護師長の管理能力が問われたり、新たな人員確保が難しかったりするため、看護師長から難色を示されやすい傾向があります。
しかし結婚や出産がきっかけの場合は、区切りである年度末に仕事を辞める看護師が多いため、上司から理解を得られることがほとんどです。
結婚や出産により看護師長に退職を申し出るときは、事実をそのまま伝えるとよいでしょう。
転職活動の採用面接では、家庭や仕事との両立が図れることを伝えることが大切です。転職先の面接時に伝える例文は次のとおりです。
前の職場は出産をきっかけに退職しました。子育てが落ち着いてきたため、看護師としてもう一度、医療に関わる仕事に携わりたいと考え、貴院に応募いたしました。
貴院は子どものいる看護師にも理解があり、シフト調整などに柔軟な対応をしていると伺い、安心して仕事に打ち込めると考えております。採用していただけた際には、1日でも早く貴院に貢献していきたいと思います。
人間関係
人間関係のトラブルが原因で職場を辞める場合は、看護師長に引き止められる傾向があります。人間関係で悩む中でも努力してきたことを伝えたり、今の職場では実現が難しい要望を付け加えたりすると、退職が受け入れられやすくなります。
看護師長に退職理由を伝えるときの例文は次のとおりです。
日々の仕事で悩む中で、自分がどんな看護を提供したいかを考え直した結果、今後は退院後の患者様の生活を支える訪問看護の仕事に携わりたいと思うお陽になりました。そのため、退職を希望いたします。
転職先の面接では、人間関係を理由に仕事を辞めたことを伝えると、採用側にネガティブな印象を与える可能性があります。実際には人間関係で退職したとしても、前向きな表現を使って退職理由を述べましょう。
転職先の面接時に伝える例文は次のとおりです。
患者様に看護を提供するためには、看護師や他職種がチームになって仕事をすることが大切だと考えています。しかし前の職場では、人手不足のために看護師間での連携が十分に取れていないと感じていました。私なりに業務改善の努力をしましたが、自分が理想とする看護の提供に至らず、退職いたしました。
貴院に入職した際には、患者様のためにもチーム医療を意識した看護ケアを実践したいと考えております。
給与などの待遇
待遇面の不満があって職場を辞めたいときは、正直に内容を伝えるのは得策ではありません。人員不足で今の職場をすぐに辞められないこともあるからです。その際は待遇への不満をオブラートに包んで伝えるようにしましょう。
待遇に対する不満で看護師長に退職理由を伝える例文は次のとおりです。
仕事でミスが重なれば、いずれ患者様にも大きな影響を与えるかもしれないと考え、退職を決心いたしました。退職後は、夜勤がないクリニックへの転職を希望しております。
採用試験の面接で前の職場の不満を言うと、採用担当者に「不平不満を抱きやすい」「看護師としての意欲が足りない」と思われてしまうことがあります。面接時は前の職場の悪口を言うのではなく、志望動機につながるような内容を述べましょう。
転職先の面接時に伝える例文は次のとおりです。
前職では急性期病院に勤めており、手術前後の看護を提供していました。手術により患者様が元気になる姿を見るのは喜ばしいことでしたが、入院から退院までの期間が短く、一人ひとりの患者様とじっくり関わることができませんでした。
貴院は慢性期の患者様も多く受け入れており、入院中から在宅復帰まで長いスパンで患者様に支援できると考え、志望いたしました。
まとめ
看護師が仕事を辞めたい理由の伝え方は、職場の看護師長を伝えるときと転職活動の面接を受けるときとでポイントが異なります。退職理由を述べる際は、記事の内容を参考しながら考えてみましょう。
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