看護師におすすめのプラスαの資格23選!メリットや取得方法を解説

看護師におすすめのプラスαの資格23選!メリットや取得方法を解説

看護師の中には、スキルの向上やキャリアアップを目指している人もいるのではないでしょうか。看護師資格を活かしてステップアップを図るには、新たな資格の取得がおすすめです。

そこで、看護師がプラスαで取得したい資格について解説します。看護師と関連性の高いさまざまな資格を紹介しているので、参考にしてみてください。

目次

看護師がプラスαの資格を取得する5つのメリット

看護師として働くうえでは、国家資格である「看護師資格があれば十分」と考える人もいるかもしれません。しかし、看護師資格に加えて新たな資格を取得するメリットは多いものです。

①キャリアアップに繋がる

まずは看護師としてのキャリアアップに直接つながるものを挙げます。例えば、認定看護師や専門看護師資格を取得すれば、患者さんに対してより深い看護ケアを提供できるのはもちろん、毎日の業務の中で他の看護師に助言や指導をする役割も求められ、昇進の機会も増えます。

また、医療機関の副師長クラスの看護師のほとんどは、特定の分野の認定看護師資格を持っています。医療機関によっては、認定看護師や専門看護師資格を取得することを前提に、管理職への就任など昇進が約束されることもあります。そのため、入学金や授業料、生活費補助をはじめ、これらの資格の取得支援を行う施設は多くあります。

②知識やスキルが得られる

日々、看護師として働く中で、自分のスキルや知識が不足していることに気づく人は少なくありません。資格取得が新たな学習の機会となり、自分の知識やスキルをさらに高めることにもつながります。

毎日の業務の中で自分が納得できる看護ケアを提供できるようになれば、看護師としての自信も高まることでしょう。

③給与が上がる可能性が高い

認定看護師や専門看護師のように、専門性の高い資格を取得することで、給与アップが期待できます。日本看護協会の報告によると、認定看護師や専門看護師の資格取得者に対し、毎月資格手当を支給する医療機関は多くあります。

また、病院によっては、資格手当を月給で支払うのではなく、ボーナス支給時や資格取得時に一時金として支給するところもあります。現在の職場や転職を希望する医療現場でニーズが高い専門資格を取得すれば、より高い収入を得ることができるでしょう。

高収入を得たいと考える看護師は、こちらをご覧ください。

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④自分なりの働き方が選べる

これまでの看護経験を活かしつつ、関連した分野で働きたいと考える看護師もいるでしょう。医療・保健・福祉分野の資格の中には、看護との関連性が高く、臨床で培った経験や学びが役立つものがあります。

プラスαの資格を取得することで、看護ケアの経験を上手く活かしながら、新たな分野で活躍できるようになります。

⑤転職時のアピールポイントになる

看護業界は慢性的な人手不足に陥っているため、看護師が転職活動をするのはそれほど難しいわけではありません。とはいえ、希望する職場と相性の良い資格を持っていれば、強いアピールポイントになり、転職活動を有利に進めることができるでしょう。

看護師以外の資格を持っていることは、採用側に向学心ややる気があることを伝える材料にもなります。

特におすすめ!プラスαの資格4選

特におすすめ!プラスαの資格4選
看護師が新たに取得を目指すうえで、特に人気なのが以下の資格です。看護師として自身の目指す方向性に合わせ、確実にスキルアップやキャリアアップが図れるからです。

認定看護師

認定看護師とは、特定の看護分野において深い知識や高いスキルを持つ看護師のことです。資格の認定および授与は、日本看護協会によって行われます。認定看護師には、患者さんにより専門性の高い看護ケアを提供するのに加えて、同僚の看護師への指導やアドバイスをすることが求められています。

≪認定看護師の19の特定分野≫
1,感染管理
2,がん化学療法看護
3,がん放射線療法看護
4,緩和ケア
5,クリティカルケア
6,呼吸器疾患看護
7,在宅ケア
8,手術看護
9,小児プライマリケア看護
10,新生児集中ケア
11,心不全看護
12,腎不全看護
13,生殖看護
14,摂食嚥下障害看護
15,糖尿病看護
16,認知症看護
17,脳卒中看護
18,乳がん看護
19,皮膚・排泄ケア
受験資格・看護師として5年以上の臨床経験があり、うち3年以上は目指す分野に関する臨床経験である
・指定の養成機関で6ヵ月から1年の履修
取得方法日本看護協会が実施する認定審査に合格
メリット特定の看護分野で専門的な看護ケアを実施できるようになる
受験費用51,700円(税込)
合格率90%以上
平均給与看護師の給与+資格手当

参考:日本看護協会 認定看護師

専門看護師

専門看護師は、患者さんやその家族に対して専門性の高い看護ケアを実践するほか、ケア提供における同僚スタッフからの相談対応および教育、地域連携といったことも担います。また看護に関わる倫理的な問題の解決を目指したり、看護分野の研究を行ったりする役割を果たします。

専門看護師の分野は以下です。

≪専門看護師の分野≫
1,がん看護
2,精神看護
3,地域看護
4,老人看護
5,小児看護
6,母性看護
7,慢性疾患看護
8,急性・重症患者看護
9,感染症看護
10,家族支援
11,在宅看護
12,遺伝看護
13,災害看護
14,放射線看護
受験資格・看護系大学院で修士課程を修了している
・看護師としての臨床経験が5年以上あり、うち3年以上が目指す専門分野での経験である
取得方法日本看護協会が実施する認定試験に合格する
メリット深い知識や高い技術を持つ看護師として、専門的な看護を実践できる
受験費用51,700円(税込)
合格率50~100%(分野による)
平均給与看護師の給与+資格手当

参考:日本看護協会 専門看護師

助産師

助産師は看護師の上位資格で、お産の支援に加えて、妊娠から出産後まで母親と子どものケアを行います。一般に、看護師が医療処置をするには医師の指示が必要ですが、正常分娩であれば、助産師は医師の指示なく助産や臍帯の切断などの医療行為が行えます。

海外には男性の助産師もいますが、日本では助産師になることができるのは女性のみです。

受験資格・女性であること
・助産師養成学校または看護系大学で指定科目を履修
・看護師または看護師資格取得見込みである
取得方法助産師国家試験の合格
メリット助産師として、助産行為や妊娠から出産までの母子保健のケアを行える
受験費用5,400円(税込)
合格率98.8%
平均給与39.5万円

保健師

保健師も看護師の上位資格で、地域住民に対して保健サービスを提供する役割を担います。主な勤務先は、都道府県の保健所や市町村の健康管理センター、地域包括支援センターで、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の健康ケア・生活サポートを行います。

予防医療や病気の早期発見など公衆衛生に関わりたい看護師に適した資格です。2019年末から続いたコロナ禍では、新しい感染症に対する組織の強化や整備においても、保健師がめざましい活躍をとげました。

受験資格・保健師養成学校または看護系大学で指定科目を履修
・看護師または看護師資格取得見込みである
取得方法保健師国家試験の合格
メリット保健師として地域の公衆衛生活動に携われる
受験費用5,400円(税込)
合格率95.7%
平均給与約26万円

参考:公益社団法人 日本看護協会 保健師

【介護・福祉分野】おすすめのプラスαの資格4選

【介護・福祉分野】おすすめのプラスαの資格4選

看護師の中には、介護や福祉に興味がある人もいるでしょう。介護・福祉分野の資格を持っていれば、転職時のアピールポイントになります。看護師に注目されている介護・福祉分野の資格は以下です。

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、認知症のケアに関して、優れた知識とスキルを持っていることを証明する資格です。資格取得者の多くは介護福祉士やヘルパーなど介護分野の資格保有者ですが、看護師で資格取得を目指す人も多くいます。

社会の高齢化にともない、日々の看護業務でも認知症の患者さんと接する機会は多いのではないでしょうか。認知症ケア専門士の資格を取得することで、より一人ひとりの状態に合ったケアができるようになるでしょう。

受験資格過去10年間に3年以上の認知症ケアの実務経験がある
取得方法認定試験に合格する
メリット認知症の患者さんへの看護ケアに役立てられる
受験費用12,000円(税込)
合格率53.7%

参考:日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者にとって住みやすい環境づくりに関し、専門的なアドバイスをする資格です。クライアントの状態に合わせた住宅改修のプランの提案はもちろん、福祉用具の紹介なども行います。

介護の現場に限らず、病院で働く看護師が退院を目前に控えた患者さんに助言をするのにも役立つでしょう。

受験資格特になし
取得方法検定試験に合格する
メリット高齢者や障がい者に対して住環境や福祉用具のアドバイスができるようになる
受験費用12,100円(税込)
合格率5.6%(1級の場合)
平均給与約20万円

参考:東京商工会議所 福祉住環境コーディネーター検定試験

ケアマネジャー

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、支援や介護が必要な人の相談に乗ったり、介護保険サービスを受けるために必要なケアプランの作成をしたりする職種です。ケアマネジャーは介護分野の資格ですが、日勤のみで定時で仕事が終わるところも多く、結婚や出産後にワークライフバランスを重視したい看護師に人気の資格です。

介護や支援が必要な人の多くは入院経験があるため、看護師で培った経験が役立つでしょう。また、病棟で働く中で、患者さんの退院後の生活を支えたいと考える看護師にもおすすめです。

受験資格・医療・保健・福祉・介護のいずれかの国家資格の保有者または、介護福祉施設で相談援助の業務をしている
・5年以上の実務経験がある
取得方法筆記試験に合格
メリット介護保険制度のスペシャリストとして、その人に合わせたケアプランを提案・作成できる
受験費用13,800円(税込)
合格率10~23%
平均給与27~32万円

参考:厚生労働省  介護支援専門員(ケアマネジャー)

シニアピアカウンセラー

シニアピアカウンセラーは、高齢者とのコミュニケーション力やカウンセリングスキルが高いことを証

シニアピアカウンセラーの資格取得を通して、傾聴やカウンセリングの理論やその技法について体系的に学べます。

明する資格です。看護師が働く職場では、高齢者と関わる機会が多くありますが、理論や技術に基づいて接している看護師は少ないのが現状です。

シニアピアカウンセラーの資格取得を通して、傾聴やカウンセリングの理論やその技法について体系的に学べます。

受験資格認定の教育機関にてすべての教育訓練を履修
取得方法認定試験に合格する
メリット高齢者に対するコミュニケーション能力が向上する
受験費用5,600円(税込)

参考:一般財団法人 日本能力開発推進協会 シニアピアカウンセラー

認知症介助士

認知症を抱える人に対し、適切なコミュニケーションや対応をする力、安心して暮らせる環境づくりについて知識を持つ人に与えられる資格です。医療現場では認知症を抱える高齢の患者さんと接する機会も少なくありません。

認知症に関する正しい知識とスキルを持つことで、認知機能が低下している患者さんを理解し、言葉や行動を否定せずに温かい気持ちを持った看護ケアの提供を目指せます。

受験資格特になし(検定試験前にセミナーを受けることも可能)
取得方法検定試験の合格
メリット認知症の患者さんに対して適切な関わり方が身に付く
受験費用3,300円(税込)
合格率約80%

参考:認知症の人に寄り添う 認知症介助士

その他の資格

その他、看護師の仕事内容や理念と関連が深い職種に「社会福祉士」や「精神保健福祉士」があります。それぞれの職種の業務内容は以下のとおりです。

 社会福祉士:心身に障がいをもつ人、生活困窮者など日常生活を送るうえで問題を抱える人の相談対応や支援を行う。医療機関や教育機関と連携を取ることも多い。

 精神保健福祉士:心の病気を抱えている本人やその家族の相談対応や日常生活の支援を行う。訓練施設でのサポートだけでなく、医療や行政の橋渡しの役割も担う。

上記の2つの資格は、大学での学び直しが必要になり、看護師がプラスαで取得を目指すのは難しいかもしれません。しかし、看護師の業務を通して、社会福祉士や精神保健福祉士の仕事に興味を持ったのであれば、資格取得を目指してみるのもよいでしょう。

資格を取った後は、ダブルライセンス保有者として看護の知識やスキルを、相談支援業務に役立てられるでしょう。

【医療・救急分野】おすすめのプラスαの資格8選

【医療・救急分野】おすすめのプラスαの資格8選

医療及び救急分野の資格を取得すると、看護師としての知識やスキルの向上に直接役立ちます。看護師に人気の医療・救急分野の資格は以下です。

BLSヘルスケアプロバイダー

BLSヘルスケアプロバイダーは、心肺停止や呼吸停止に対する一次救命処置に関する知識やスキルがあることを証明する資格です。看護師として働いていると、患者さんの急変の場面に遭遇することも少なくありません。

コースプログラムでは、成人に対する救命処置はもちろん、乳児や小児に対する救命処置を学ぶことができます。看護学校で救命処置の学習をしていても、実践する機会がない人もいることでしょう。資格取得を通して、知識のおさらいや手技の練習をするのもおすすめです。

受験資格全てのコースプログラムに参加している
取得方法筆記試験と実技試験に合格する
メリット患者さんの急変時に適切な処置や対応が行えるようになる
受験費用18,480円(税込)

参考:日本ACLS協会ガイド BLSプロバイダ―コ―ス

ACLSプロバイダー

ACLSプロバイダーは、成人の心停止に対し、二次救命処置を行う知識とスキルがあることを証明するものです。二次救命では、気道確保、高濃度酸素の投与、静脈路確保及び薬物投与が行われます。

指示や処置は医師がリーダーシップを発揮して行うものの、看護師が流れを理解しておくことは大切です。流れがわかっていれば、急変時に、器具や薬剤の準備、患者さんの体勢の確保といった診療の補助を的確に行えるようになります。

受験資格BLSまたはACLSプロバイダー/インストラクターの資格保有があるうえで、指定のコースを受講
取得方法筆記試験と実技試験に合格する
メリット急変時の対応、処置の流れを理解できるようになる
受験費用38,980円(税込)

参考:日本ACLSガイド協会 ACLSプロバイダーコース

PALSプロバイダー

PALSプロバイダーは、小児の二次救命処置について、専門知識とスキルを持つことを証明するものです。資格取得のための講座を受けることで、心停止や呼吸不全など、子どもの患者さんの急変時に速やかに対応するための知識と技術を身に付けられます。指定のコースでは、小児や乳児に対する応急処置やAEDの使い方の復習、心停止や呼吸不全の評価と介入方法、蘇生後の管理について学びます。

救急科や小児科勤務の看護師が取得しておきたい資格です。

受験資格BLSまたはPEARSまたはPALSのプロバイダー/インストラクター資格を保有のうえで、コースを受講する
取得方法筆記試験と実技試験に合格する
メリット小児や乳児の二次救命処置が理解できるようになる
受験費用42,980円(税込)

参考:日本ACLSガイド協会 PALSプロバイダーコース

消化器内視鏡技師

消化器内視鏡技師とは、内視鏡検査の介助をするにあたり、専門知識やスキルを持つことを証明する資格のことです。医師の指示の下、内視鏡操作の介助や検体の処理を担います。また、検査前後の患者さんへの説明、内視鏡の整備を行います。

病院の内視鏡室や内視鏡クリニックに勤務する看護師の多くが目指す資格です。

受験資格・医療資格保有者
・消化器内視鏡部門での勤務年数2年以上
・指定の講習や講義を200時間以上受けている
取得方法資格認定試験に合格する
メリット内視鏡検査の介助に関する知識や技術を得られる
受験費用10,000円(税込)
合格率75.2%
平均給与30~40万円

参考:日本消化器内視鏡学会

終末期ケア専門士

終末期ケア専門士とは、終末期にある患者さんやその家族に対して、ケアの実践ができることを証明する資格です。病棟看護師や訪問看護師は、終末期の患者さんと関わる機会が多くあります。

終末期ケア専門士の資格はステップアップ形式となっており、臨床ケアにおけるスペシャリストから、組織や社会における終末期ケアの指導者まで目指すことができます。

受験資格医療・保健・福祉・介護分野の資格保有者で2年以上の経験がある
取得方法パソコン試験に合格する
メリット終末期の患者さんや家族に対するケアに自信が持てるようになる
受験費用11,000円(税込)
合格率61.1%

参考:日本終末期ケア協会

3学会合同呼吸療法認定士

3学会合同呼吸療法認定士は、吸入療法・酸素療法・呼吸理学療法・人工呼吸などの呼吸療法や呼吸管理の習熟を目的とした資格です。呼吸器疾患を持つ患者さんをメインに受け入れる病棟に所属している看護師でも、呼吸理学療法のような専門知識や技術を持たない人は多いものです。

資格の取得には、日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会の3つの学会からなる委員会の審査を受ける必要があります。

受験資格・看護師は2年以上の臨床経験
・准看護師は3年以上の臨床経験
・3年以内に認定講習会を受講する
取得方法認定試験に合格する
メリット患者さんに行う呼吸療法や呼吸管理に関する知識や技術が深まる
受験費用10,000円(税込)
合格率66.1%(2023年)

参考:公益財団法人 医療機器センター 3学会合同呼吸療法認定士

リンパ浮腫セラピスト

リンパ浮腫セラピストは、リンパ浮腫がみられる患者さんに対して、医師の指示の下でリンパドレナージ・弾性包帯による圧迫療法といった施術の提供、スキンケアなどの生活指導を行う職種です。

がんの切除のためにリンパ節郭清をすると、リンパの流れが滞り浮腫が生じやすくなります。リンパ浮腫セラピストは、正しい知識を持ってリンパ浮腫の症状の軽減や予防に必要なケアを行います。

受験資格・医療資格(歯科医師・薬剤師を除く)
・指定の研修を修了した後、5症例を経験する
取得方法日本リンパ浮腫治療学会の認定試験に合格する
メリットリンパ浮腫のある患者さんに対して、有効なケアや予防のためのアドバイスが行えるようになる
受験費用15,000円(税込)

参考:日本リンパ浮腫治療学会認定 リンパ浮腫療法士

栄養サポートチーム専門療法士

栄養サポートチーム(NST)専門療法士は、静脈栄養や経腸栄養に関して専門的な知識とスキルを持つことを証明する資格です。

栄養に関する仕事は管理栄養士の管轄だというイメージがあるかもしれません。しかしNST専門療法士の資格を持つ看護師は、個々の患者さんに応じた食形態や補食の提案から、カンファレンスにおける栄養プランの修正、カテーテルや経管栄養による合併症の相談及び対応まで広く携わります。

受験資格・医療資格の臨床経験が3年以上(医師・歯科医師・獣医師・准看護師を除く)
・日本栄養治療学会の会員で、同学会及びセミナーに指定の回数参加している
・認定教育施設における40時間の実地修練の修了
取得方法書類審査を経た後、認定試験に合格する
メリット栄養サポートチームの一員として、院内で活動できる
受験費用10,000円(税込)
合格率60~70%
平均給与25~30万円

参考:日本栄養治療学会 NST専門療法士認定資格制度

慢性腎臓病療養指導看護師

慢性腎臓療養指導看護師とは、慢性腎臓病の看護分野に関する専門的な知識とスキルを持つ人に与えられる資格です。慢性腎臓病を持つ患者さんに対しては、ステージに応じた生活習慣や食事の指導が重要です。

受験資格・看護師の臨床経験が5年以上で、うち慢性腎臓病に関する臨床経験が3年以上
・日本腎不全看護学会の会員歴が3年以上である
・日本腎不全看護学会が認めた学会及び研修への参加、論文発表がある
取得方法事例の提出後、筆記試験に合格する
メリット慢性腎臓病の患者さんに専門的な看護を提供できる
受験費用30,000円
合格率90%前後

参考:一般社団法人 日本腎不全看護学会 慢性腎臓病療養指導看護師(CKDLN)

禁煙支援士

禁煙支援士は、禁煙の支援や啓蒙活動をしたい人に適した資格です。タバコが呼吸器の病気やがんなど健康への悪影響を及ぼすことは広く認知されています。しかし、タバコは心身に対して高い依存性があるため、喫煙者がいざ禁煙しようとしても難しいものです。

禁煙支援士の資格を取得することで、禁煙外来や呼吸器内科病棟において、患者さんに効果的な禁煙指導やフォローができるようになります。

受験資格・禁煙に関する十分な知識やスキル、実績がある
・講習会の参加、レポート提出
取得方法認定試験に合格する
メリット禁煙の支援について専門性の高い知識とスキルを手に入れられる
受験費用無料

参考:日本禁煙科学会 禁煙支援者認定の概要と認定基準

【カウンセリング分野】おすすめのプラスαの資格4選

【カウンセリング分野】おすすめのプラスαの資格4選

看護師の中には、患者さんや家族の話をじっくり聞くのが好きな人もいるでしょう。看護師におすすめのカウンセリング系の資格は以下です。

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、企業に勤める従業員の相談に乗ったり、良好な職場環境を実現するための提言を行ったりする職業です。産業カウンセラーは企業に特化したスペシャリストであるため、メンタルヘルス分野だけでなく、キャリア開発のサポートも行う必要があります。

産業看護師として企業に転職する際に、産業カウンセラーの資格があれば大きな強みとなるでしょう。

受験資格・指定の講座または準ずる講座を修了する
・大学または大学院で心理学等の卒業者で、指定数の単位を取得している
※上記のいずれか
取得方法学科試験・実技試験に合格する
メリット産業看護師として転職する際に有利になる。
受験費用33,000円
合格率60.2%
平均給与21~27万円

参考:日本産業カウンセラー協会

チャイルドカウンセラー

チャイルドカウンセラーは、子どもや子育て中の親をサポートするための専門知識や技能を持つ職種です。主な仕事内容は、いじめや不登校などの悩み相談です。看護師がチャイルドカウンセラーの資格を持つことで、さまざまな背景のある子どもや家族との接し方について、深く学ぶことができるでしょう。

受験資格指定の認定教育期間のカリキュラムを履修する
取得方法日本能力開発推進協会による技能審査に合格する
メリット悩みを抱える子どもや家族の対応について自信を持って行えるようになる
受験費用5,600円(税込)

参考:日本能力開発推進協会 チャイルドカウンセラー

体外受精コーディネーター

体外受精コーディネーターは、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)を受けるカップルに対して情報提供やケアを行います。また、不妊で悩む人に対するカウンセリングや研究活動にも取り組みます。

受験資格・日本不妊カウンセリング学会に所属している
・指定の養成講座を受講している(初回受講から5年以内)
取得方法日本不妊カウンセリング協会が実施する面接試験と筆記試験の合格
メリット高度生殖医療(ART)を受けるカップルに対して、適切な情報提供やケアができるようになる
受験費用15,000円(税込)
合格率60~70%
平均給与25万円

参考:日本不妊カウンセリング協会 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターとは

不妊カウンセラー

不妊カウンセラーは、不妊で悩んでいる女性やカップルの話を聞きながら、適切な情報を提供して、最適な治療を選べるように支援します。また、カウンセリングやケアの実践以外に研究活動も行います。

受験資格・日本不妊カウンセリング学会に所属している
・指定の養成講座を受講している(初回受講から5年以内)
・不妊治療に関する臨床経験や研究が1年以上あること
取得方法日本不妊カウンセリング協会が実施する面接試験と筆記試験の合格
メリット生殖医療において、患者さんや家族により適切な対応が取れるようになる
受験費用1,5000円(税込)
合格率60~70%
平均給与25万円

参考:日本不妊カウンセリング協会 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターとは

その他の資格

その他のカウンセラー資格に「公認心理師」「臨床心理士」があります。それぞれの職種の業務内容は、以下のとおりです。

公認心理師
心理アセスメント・カウンセリング・関係者への面接・心の健康教育を行う職種です。公認心理師の資格を取るには、大学での心理学のカリキュラムの履修後、大学院で指定科目の履修または指定施設での実務経験が必要です。
臨床心理士
クライエント(相談者のこと)に対して、臨床心理査定やカウンセリングをする職種です。特定の個人だけでなく、地域を対象とする心理的調査や研究活動も行います。臨床心理士の資格を取得するには、大学院にて臨床心理のカリキュラムを修了しなければなりません。

公認心理師と臨床心理士の違いは、前者が新しくできた国家資格で、後者は民間資格であることです。心理職に国家資格が誕生したことで、処遇に差が出る可能性もあり、改めて公認心理師資格の取得を目指す臨床心理士も多くいます。

いずれの職種も専門課程の履修が必要ですが、ダブルライセンス保有者となれば、看護師として働く際にも役立つでしょう。

【その他】おすすめのプラスαの資格3選

その他にも看護師が追加で取得できる資格には、以下があります。

臓器移植コーディネーター

臓器移植コーディネーターは、ドナー(臓器提供者)及びその家族と、レシピエント(臓器を受け取る側)の橋渡しをする職種です。臓器移植にかかわるドナーや家族の意思決定をフォローするのに加えて、移植に必要な事務手続や移植手術の立ち会いを行います。

業務では、個々の医療機関の体制に対応した調整も行うため、病院または本部のオフィスに在籍して、コーディネーター同士が連携を図りながら仕事を進めていきます。

受験資格・医療分野での臨床経験者もしくは大卒以上
・一般職として入職した後、約1カ月の研修を受ける
取得方法日本臓器移植ネットワークが実施する試験に合格する
メリットコーディネーターとして臓器移植に関わる人やその家族をサポートできる
受験費用なし
平均給与25~34万円

参考:日本臓器移植ネットワーク 臓器移植コーディネーター

アンガーマネジメント

アンガーマネジメントとは、アメリカ発祥の怒りの感情と上手く付き合うためのトレーニング手法です。看護師として働いていると、先輩ナースや患者さんから理不尽な対応をされることはよくあるものです。

自分の中で沸き起こった怒りをコントロールすることで、人間関係のトラブルを避けたり、気持ちの切り替えをしやすくしたりすることができるでしょう。仕事中の人間関係でモヤモヤしやすい看護師にもおすすめの資格です。

受験資格・対面講座(2日間)またはオンライン講座(訳1カ月)
取得方法日本アンガーマネジメント協会の認定試験に合格
メリット看護師として働く上で、自分の気持ちをコントロールしやすくなる
受験費用33,000円(税込)

参考:日本アンガーマネジメント協会

コーチング

コーチングは、相手が心の内にある答えを創り出すのをサポートすることです。ティーチングが豊富な知識をもとにゴールを目指すサポートをするのに対して、コーチング有資格者は相手が自分の答えに到達するために必要な支援を行います。

看護師の仕事の中には、患者さんの意思決定に寄り添う場面がいくつもあります。コーチングの知識やスキルを学ぶことで、患者さんや家族の意思決定をしっかり支えられることでしょう。

受験資格指定の養成プログラムの応用コースまでを修了
取得方法日本コーチ連盟による学科及び実技試験に合格する
メリットコーチングの知識やスキルを得ることで、医療現場における患者さんやその家族の意思決定を支援できる
受験費用27,500円(税込)

参考:日本コーチ連盟 コーチングを学びたい人のために

看護師がプラスαの資格を取得するときの注意点

看護師が新たに資格取得を目指す際には、次のポイントを押さえる必要があります。

①目指すキャリアに沿った資格を選ぶ

看護と関連のある資格は多岐にわたりますが、すべてが自分に合っているとは限りません。看護師の仕事と関連が深い資格でも、自分が目指す道に沿っているものでなければ、せっかく資格を取得しても宝の持ち腐れになってしまいます。

看護師としてのスキルを高めたりキャリアップを図ったりするために、プラスαの資格を取るのであれば、自分が思い描くキャリアに適した資格を選ぶことが大切です。資格を取ることで得られる知識やスキルを十分に把握した上で、必要なものを選びましょう。

②資格の取得方法を確認する

これまで紹介してきた資格は、それぞれ資格の認定や授与を行う団体が異なります。また資格によって、取得のための条件や試験方法に違いがあります。プラスαで資格取得を目指す場合、多くの看護師が日々の業務と併行して学ぶことになるでしょう。

資格を取るのに必要な条件や試験方法について事前にきちんと把握し、無理なく資格取得を果たせるよう、計画的に準備を進めることが大切です。

③必要な勉強時間を把握する

看護師資格の取得と同様に、多くの資格において試験があります。資格によっては、講義や授業を受ける必要があるため、現在の仕事と両立できるよう調整しなければなりません。

例えば、認定看護師や専門看護師の資格を取るには、大学院へ通う必要があり、資格取得までの期間も長くなります。興味のある資格について、どのくらいの勉強時間が必要なのかをしっかり確認しましょう。

また、朝の早い時間や通勤時間など、スキマ時間を上手に活用して、学習時間の確保に努めることも大切です。

看護師としての将来をイメージする上で覚えておきたい言葉

興味やあこがれから看護師資格を取得した人も、実際に働くようになると、キャリアップのための異動や進学といった選択肢を見出すようになります。看護師がキャリアの方向性を考えるにあたっては、次の言葉を把握しておきましょう。

1:ジェネラリスト

ジェネラリストとは、特定の専門分野に関わらず、さまざまな患者さんに対して、その患者さんの容体や状況に適した知識やスキルを発揮できる看護師のことです。

医療現場で働く看護師の大半はジェネラリストであり、臨床経験や部署の異動を経て、さまざまな領域の医療を経験し、看護ケアを向上させていく必要があります。

患者さんにとって身近な存在でありたい看護師、ベッドサイドで傾聴するような寄り添いを大切にしている看護師は、幅広い経験を積んでジェネラリストを目指すと良いでしょう。

2:スペシャリスト

スペシャリストとは、特定の看護分野について専門的な知識・スキルを持つ看護師のことです。継続的な自己研鑽を積みながら、患者さんへの看護ケアの提供だけでなく、同僚看護師への助言や指導、医療職間との調整を行うなど、部署の内外での活躍が求められます。

看護師がスペシャリストとして働くには、認定看護師や専門看護師といった上位資格の取得を目指す必要があります。特定の看護分野に強い関心のある人、専門的な看護ケアを提供したい人は、スペシャリストを目指すと良いでしょう。

3:管理者

管理者は、院内や部署において強いリーダーシップを発揮し、チームを取りまとめる役割を持ちます。チームやメンバーの状況を見極める洞察力に加え、緊急時には判断力や意思決定が求められます。

看護師が管理者を目指すには、副看護師長や看護師長、看護部長へ昇進する必要があります。スタッフのマネジメントに興味がある人、看護の質の向上に取り組みたい人は管理者を目指すと良いでしょう。

ダブルライセンスの取得は今後簡易化されていく?

ダブルライセンスの取得は今後簡易化されていく?

日本では核家族化や少子高齢化が進み、社会構造も大きく変化しています。国民のニーズは、医療や福祉といったさまざまな分野の垣根を超え、多様化・複雑化しています。
とくに福祉や介護分野では人材不足がみられており、今後は看護師のダブルライセンス取得の簡易化が進められていく可能性があります。

医療は福祉や介護分野とも関わりがあることから、両方の知識と経験を持っていれば現場に役立ちます。今後は看護師でありながら、福祉や介護といった他分野のダブルライセンスを保有する人も増えていくかもしれません。

実際に、介護分野の資格である「ケアマネジャー」の受験資格を得るには、介護分野の相談援助に関わる実務経験5年が必要ですが、看護師の場合には、臨床経験もカウント対象となります。

将来的には、ケアマネジャー資格に限らず、看護師が福祉や介護分野の資格を取得する際に、看護師時代の履修科目や臨床経験が適用される可能性は、大いにあるでしょう。

まとめ

看護師がスキルを高めキャリアアップを果たすには、新たに資格を取ることが有効です。日々の業務の中で疑問や不安がある場合には、自信のない分野の資格取得を目指すことで、学び直しの機会にもつながるでしょう。

プラスαで資格を取ることで業務内容が広がったり、役職に就けたりと仕事のチャンスも訪れるようになります。自身の看護ケアに自信が持てれば、業務へのモチベーションもさらにアップするでしょう。

また、看護師以外の資格を持つことで、転職が有利になるだけでなく、自分に適した職場を見つけやすくなります。看護師としてさらに上を目指したい人は、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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参考:
日本看護協会/「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書、公益社団法人 日本看護協会/認定看護師、公益社団法人 日本看護協会/専門看護師、ジェネラリスト・ナースの卓越した看護実践とその獲得に至る背景、ジェネラリスト・スペシャリストをいかに紡ぐか?

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