看護師の定年とは?実際は何歳まで働くことができる?

看護師の定年とは?実際は何歳まで働くことができる?

医療機関で働く看護師の中には、定年退職となる年齢が何歳なのか、気になる人も少なくないでしょう。一般企業と同様に、看護師の働く職場にも定年がありますが、医療現場では60歳を超えても現役で活躍する看護師は数多くいます。

本記事では、看護師の一般的な定年年齢や現状、医療機関を定年退職後も看護師として働き続けられるかといったことについて、詳しく解説していきます。

そもそも定年とは?

定年制度は、従業員が一定の年齢に達した時点で雇用契約を終了する制度のことです。

「高年齢者雇用安定法第8条」では、定年年齢を60歳以上に設定するよう定められています。また、同法第9条では、65歳までの継続雇用制度の設置が義務化されています。

さらに2021年4月の法改正により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務として追加されました。それにより多くの企業では再雇用や業務委託契約など、多様な働き方の選択肢を設け、年齢を重ねても働き続けられる環境を整えています。

参照元:厚生労働省|高年齢者雇用安定法の改正〜70歳までの就業機会確保〜

看護師の一般的な定年年齢は?

看護師の定年年齢は、勤務先の就業規則によって異なりますが、多くの医療機関では定年を60歳としています。定年後は、再雇用制度を利用し、65歳まで働くケースが一般的です。近年は、70歳以上でも働き続けられる制度を設ける医療機関、終身雇用に近い形を実現している職場も増えています。

特に看護師は専門性の高い職種のため、定年を迎えてもその経験値や技術が重宝される場面は多くあります。

60歳以上の現役看護師の割合

厚生労働省が令和5年に公表した「看護師等(看護師職員)の確保を巡る状況」によると、60歳以上の現役看護師の割合は年々増加しています。

具体的には、2008年の時点では60〜64歳が3.1%、65歳以上が1.8%だったのに対し、2020年にはそれぞれ6.8%、5.0%に上昇しました。

出典:厚生労働省|就業看護職員の年齢階級別構成割合の推移

医療現場において、ベテラン看護師の経験と知識は重宝されます。特にチームのまとめ役やや教育指導、在宅医療・訪問看護の提供といった場面で重要な役割を果たします。

今後もこの傾向は続くと予測されており、ベテラン看護師の活躍は一層期待されることでしょう。

最高齢の現役看護師は何歳?

なかには、90歳以上で現役を続ける看護師もいます。

例えば、三重県津市の高齢者施設「いちしの里」で働く池田きぬさん(99歳)は2024年12月現在、最高齢の現役看護師で、施設の入居者ではなく、嘱託職員として、週2回勤務を続けています。

このように健康寿命の延伸する現代社会では、意欲次第で、看護師として長く活躍することが可能なのです。

60歳以上でも働く看護師が多い理由

60歳を過ぎても働き続ける看護師が多い理由には、健康寿命の延伸や少子高齢化といった社会的要因があります。ここからは、主な理由について、それぞれみていきます。

1. 平均寿命・健康寿命が延びているから

日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳と、世界でもトップクラスの長寿を誇り、健康寿命も延びています。このため、60歳を超えても働き続けられる人が増加しているのです。

例えば、医療従事者として日々健康管理を実践している看護師は、他の職種に比べて働く意欲やスキルを維持しやすい傾向があります。健康寿命の延長は、ベテラン看護師が現役で活躍できる大きな理由です。

参照元:公益財団法人整形保険文化センター|日本人の平均寿命はどれくらい?

2. 少子高齢化により、高齢世代の労働力が求められているから

少子高齢化が進む中、60歳以上の看護師の存在感は年々増しています。生産年齢人口である若い世代の減少に伴い、医療現場では特に、ベテラン世代の経験値と労働力が必要とされているのです。

厚生労働省の資料によると、2040年には生産年齢人口が2020年の7,509万人から6,213万人に減少し、高齢化率は34.8%に達する見込みです。

出典:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況 P9

こうした背景により、ベテラン看護師の活躍は医療現場を支える重要な要素となっています。

3. 医療従事者の人手が不足しているから

医療従事者の人手不足も、60歳以上で働く看護師が多い理由の一つです。患者数の増加や社会の高齢化に加え、国の在宅医療推進の政策により、訪問看護ステーションのニーズは年々高まっています。一方で、多くの訪問看護ステーションでは人材確保に課題を抱えており、求人倍率は3.26倍にまで達しています。このような状況で、60歳以上の看護師が現場を支える役割を果たしているのです。

例えば、地方の訪問看護ステーションでは、ベテラン看護師が新規利用者の対応や緊急時のフォローを担うことで業務を円滑に進めており、豊富な経験をもつベテラン看護師は、医療現場で欠かせない存在となっています。

出典:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況 P68

4. 物価高で高齢世代の労働意欲が高いから

物価高や年金支給額の減少により、高齢世代の労働意欲は高まっています。看護師のような専門職は、年齢に関係なく収入を得られる可能性が高く、定年後も働き続ける人が多いのです。

例えば、訪問看護ステーションでは、60代前半までは正社員として働き、定年退職後、非常勤スタッフとして再雇用契約を結ぶ60代後半の看護師も少なくありません。

厚生労働省の調査では、再就職理由に「看護職のスキルを活かしたい」や「生活費を補いたい」といったことが挙げられており、経済的な必要性と社会貢献意欲がベテラン世代の就労を後押ししているといえるでしょう。

出典:厚生労働省|55歳以上の看護師等の就業促進に係る好事例収集事業報告書 P61

定年後にも看護師として働くことは可能?

定年後にも看護師として働くことは、十分可能です。多くの医療機関では再雇用制度を整備しており、65歳以上でも働き続けられる職場が増えています。

例えば、病院で週3日程度の非常勤勤務をしたり、訪問看護ステーションで時短パートをしたりと、体力的に無理のない職場で働く人も少なくありません。看護師資格を活かし、教育・研修分野やコンサルタント業務に従事する人もいます。

特に医療現場では経験豊富な看護師の需要が高く、定年後もキャリアを継続する選択肢があります。体力やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を選ぶことで、経済的な安定や社会とのつながりを保ちながら、看護師として活躍できるでしょう。

まとめ

看護師の定年年齢は一般的に60歳とされていますが、再雇用制度や非常勤勤務への移行などにより、定年後も働き続ける選択肢は多く存在します。少子高齢化や医療従事者の人材不足といった社会的背景からも、60歳以上の看護師の活躍の場はたくさんあるのです。

また、健康寿命の延長や物価高といった要因が、ベテラン看護師の働き方を後押ししています。定年後のキャリアを充実させるためには、情報を積極的に収集し、自分に合った働き方を見つけることが重要です。

看護師として長く働く意欲がある人は、再雇用制度や新しい職場への転職の可能性を探ることで、定年後も豊かなキャリアを築くことができるでしょう。

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