転職活動において、履歴書の自己PR欄は、自分の強みや長所を伝えるための重要な項目です。とはいえ転職活動に慣れていない看護師のなかには、「どう作ったらいいかわからない」と悩む人もいることでしょう。
この記事では、転職活動中の看護師に向け、自己PR文を作る手順やポイント、例文を紹介します。
看護師の転職活動に必要な自己PR作成手順
自己PR文は、事前の準備なしにすぐに完成させられるものではありません。ここでは自己PR文の作り方について、4つのSTEPで紹介します。
STEP1|自分の経歴や業務内容を書き出す
まずはこれまでの自身の職務経歴や具体的な業務内容を書き出します。 職務経歴と業務内容を整理することで、自己PR文でアピールすべき点を把握しやすくなります。時系列で、できる限り具体的に書き出してみましょう。
STEP2|看護師としての強みや長所を書き出す
職務経歴と業務内容を整理した後は、これまでの業務で培ったスキルや強み、長所を書き出します。まずは思いつく限り、箇条書きで洗い出してみましょう。
精神面や体力面、コミュニケーション能力など、項目別に考えるのがおすすめです。 「どのような患者さんにも笑顔で接することができる」「夜勤や残業も問題なく乗り越えられる」など、採用担当者が入職後の働きぶりをイメージできるような内容にするとよいでしょう。
自己PR文は、自身の強みや長所を伝える大切な部分です。時間をかけてじっくり考えましょう。
STEP3|強みや長所を具体化するエピソードを書き出す
「真面目でどのような業務もコツコツとこなせる」「自分で考えて積極的に行動できる」といったように、単純に強みや長所を書くだけでは、相手に伝わりにくいものです。 これまで看護師として働くなかで経験したエピソードを交えることで、リアリティやオリジナリティが増し、採用担当者の印象に残りやすくなります。
また採用担当者に自身の人柄や仕事への姿勢が伝われば、入職後の仕事ぶりをイメージしてもらえるでしょう。
STEP4|応募する転職先を調べて最適化する
応募する転職先を入念に調べることで、病院や看護部が求める人物像がわかってきます。転職を成功させるためには、病院側が求める人物像に合った自己PR文に仕上げることが大切です。
求める人物像にマッチしていれば、「戦力として活躍してくれるだろう」「長く働いてくれそうだ」といった好印象をもってもらえるでしょう。
患者さんの症状の変化が大きな急性期病院では、とっさの状況把握力や判断能力が求められます。また常に緊張感のある現場では、体力や精神力、責任感も重要です。
精神科病院であれば、患者さんの精神状態を観察する洞察力に加えて、不安な胸の内や訴えへの傾聴力が求められます。このように、志望先に合わせて自己PR文の内容を調整していきましょう。
転職活動中の看護師が自己PRを作る際のポイント
履歴書に記載する自己PR文には、伝わりやすい構成があります。構成を意識せずに作成すると、伝えたいことがまとまらず、文字数が多くなってしまいます。採用担当者にとって読みやすい文章にするために、構成を意識して書き上げてみましょう。
自己PR文は「結論」「エピソード」「今後の展望」の順番にまとめると、伝わりやすさが増します。自己PRの冒頭の結論で話の全体像を伝えることで、採用担当者にその後のエピソードを読み進めてもらいやすくなります。
たとえば、以下のような構成が考えられます。
エピソード:実際に〇〇病院で働いていたときには〇〇ということがありました。
展望:以上の経験を活かし、入職後は〇〇をしたいと思っています。
必ずしもこの順番で書く必要はありません。ただ、この順番にすることで、採用担当者に伝わりやすくなります。また長い文章は読み手に負担を与えかねません。要点を絞ってまとめることも大事です。
【例文あり】看護師転職の自己PR文を紹介
自己PR文を作るポイントがわかっても、具体的にどのように書けばいいのか悩む人も多いことでしょう。ここでは在籍していた部署ごと、また個々の強みごとに、例文を紹介していきます。
在籍していた部署別のPR文
自身が在籍していた部署病棟の特徴を捉えて、強みや長所を盛り込んだ自己PRを作ることで、相手にいい印象を与えられます。ここでは、急性期病院とクリニックの自己PR文をみていきましょう。
【急性期病院】
結論:私の長所はコミュニケーションスキルの高さです。
エピソード:前職は急性期病院で働いていました。入院される患者さんは、たった数時間で症状が変わることも多く、精神面で不安を抱えている人もたくさんいました。 そのため、患者さんのメンタルケアには細心の注意を払い、不安を取り除けるよう心がけてきました。 最初はうまくコミュニケーションが取れず悩んだ時期もありましたが、次第にそれぞれの患者さんに適したアプローチができるようになり、いまでは誰とでも上手に対話を図ることができています。
展望:採用していただけましたら、受け持ち患者さんとうまくコミュニケーションを取り、精神的なケアにも力を入れていきたいと考えています。
【クリニック】
結論:私の長所は臨機応変に対応できるところです。
エピソード:以前はクリニックで働いていました。医師の診察にあたり、問診やバイタルチェック、点滴・採血・注射など、基本業務を正確にこなすことを心がけていました。 医師の診療補助のほか、診察が終わった後はカルテや備品をすぐに取り出せるよう整理するなど、スムーズに診察できるが進むよう、気を配っていました。 クリニックは看護師の在籍人数も少ないため、誰かの指示を待つのではなく、臨機応変に対応する力が身についたと考えております。
展望:採用していただけましたら、自ら率先して業務に励み、経験が浅いスタッフも引っ張っていけるよう尽力します。
強み別のPR文
ここでは自身の強みをアピールする自己PR文のうち、責任感と協調性に着目したものを紹介します。
【責任感の強さ】
結論:私の長所は責任感の強さです。
エピソード:前職では褥瘡対策委員会に属しており、院全体の褥瘡予防を意識して仕事に励んでいました。ご存知のとおり、寝たきりの患者さんはとくに、少しでもケアを怠ればあっという間に褥瘡ができてしまいます。 褥瘡を防ぐために大切なのは、院内の看護師全員が正しい予防方法を知ることです。褥瘡対策委員として、看護師全員に粘り強く予防の大切さを伝えてきたことが効果を発揮し、実際に患者さんの褥瘡を減らすことができました。
展望:採用していただけましたら、任された役割を最後まで責任をもって果たします。また自ら積極的に行動し、少しでも多くの患者さんをケアできるよう努力いたします。
【協調性の高さ】
結論:私の長所は協調性が高いことです。
エピソード:病気の治療ケアには、看護師同士だけでなく、ほかの医療スタッフやご家族との連携が重要だと考えています。日頃から他職種も含めたスタッフ同士でコミュニケーションを密に取り、情報共有を行ってきました。 その結果、入院している患者さんの体位変換やおむつ交換、清拭など、看護助手スタッフとの連携や協力が必要な業務も助け合ってできるようになりました。また看護師間でも、上司や後輩ともわだかまりなく接することができました。
展望:採用していただけましたら、チームワークを重んじ、患者さんのケアに注力したいと考えています。
自己PRで協調性があることを伝える意義
医療現場ではチームで働く機会が多く、看護師が自己PRで協調性について伝えることには、大きなメリットがあります。具体的には次のとおりです。
他のスタッフと協力して働ける
協調性の高い看護師は、他のスタッフと協力しながら業務を進められます。医療現場では、看護師同士、また医師をはじめ他の専門職と協力しながら医療ケアを提供します。そのため、自身 の業務を遂行するだけでなく、広い視野をもって他スタッフと協働することが求められます。
看護師として働くには、周囲の状況をみて、他のスタッフのフォローやサポートに入る場面も多くあります 。看護師個人としてだけでなく、病棟・外来といった部署レベルで、チーム連携を意識して医療ケアを行う必要があります。
患者さんとの信頼関係を上手く築ける
看護師がもつ協調性は、患者さんの療養生活にも 大きな影響を与えます。
近年は“患者を中心に見据えた医療の提供”が重要視されています。患者さんの医療ニーズを理解するには、相手の価値観や希望を尊重して関わることが重要です。 協調性の高い看護師は、患者さんと打ち解けやすく、強い信頼関係を築くことができます。
コミュニケーション能力がある
協調性の高い看護師は、「コミュニケーションスキルも高い」と判断されます。
医療現場で働く看護師は、チーム医療の実践から医師の指示受け、患者さんのニーズ把握まで、多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。
協調性のある看護師は、相手の気持ちを察知したり、周囲を気遣うことができたりと、コミュニケーション能力も高い特徴があります。入職後も、早く職場になじめ、仕事をスムーズに進められるといった評価を受けられるでしょう。
自己PRで協調性があることを伝える際のポイント
就職試験の自己PRで協調性があることをアピールする際には、いくつかのポイントがあります。
協調性だけではなく主体性もあることを伝える
自己PRで協調性について強調するときは、主体性があることについても触れましょう。
協調性は周囲に合わせて行動する能力を指しますが、協調性だけをアピールすると、看護師本人の自主性がないように受け止められてしまうことがあります。 看護師として働くにあたり、協調性は重要ですが、「指示待ちばかりで、自主的に動けない」「リーダーシップを発揮できない」と判断されるのは避けたいものです。
協調性があることをポジティブに伝えたいときは、協調性と主体性の両方のスキルを、バランスよくアピールするようにしましょう。
実際に経験したエピソードを盛り込む
看護師が協調性の高さを示すには、実務で経験したことを記載したり、述べたりするのがおすすめです。具体的なエピソードに触れることで、どんな場面でどういった協調性を発揮したのかが、採用担当者に伝わりやすくなります。
ふだんの業務から緊急時の対応まで、看護師の協調性を発揮する場面は 多く存在します。自分の強みを印象付けられる体験をピックアップするとよいでしょう。
協調性を別の言葉に変換して伝える
自己PRで協調性について伝えるときは、他の言葉に置き換えるのもおすすめです。一言で“協調性” といっても、リーダーシップを図る能力、傾聴力、打ち解けやすい性格など、さまざまなタイプがあります。
協調性について別の言葉に置き換えて説明することで、自分自身の強みを活かし、職場にどのように貢献できるかを伝えることができます。
看護師の転職において自己PR文を作る際の注意点
ここでは、自己PR文を作成するうえで、注意すべき点を2つ紹介します。
箇条書きにしない
職務経歴書は箇条書きを使って、わかりやすく書くのが基本です。しかし、自身の強みや長所を伝えるエピソードに関しては、箇条書きを避けましょう。文章にまとめたほうが内容が充実し、相手に伝わりやすくなるためです。
とはいえ、長すぎるエピソードは読みにくくなってしまいます。300字以内で収まるように心がけましょう。
否定的な表現はしない
自己PR文では、ネガティブな表現や否定的な表現はNGです。「前職は職場環境が悪かった」「〜は苦手で…」といった表現は、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまいます。
ネガティブな表現をポジティブな表現に変換し、前向きな印象を与えましょう。
まとめ
自己PR文は、「結論」「エピソード」「今後の展望」の順に構成すると、相手に伝わりやすい内容に仕上がります。また箇条書きや否定的な表現は避け、読みやすく、良い印象を与えられるように工夫しましょう。
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