看護師長はどのような役職?おもな仕事や目指すメリットを解説

看護師のキャリアパスは、看護師長や部長などの管理職と、現場のケアに幅広く対応するスタッフ、専門看護師や認定看護師の資格を有するスペシャリストなど、大きく3つに分けられます。

そのうち、マネジメントを担う管理職の役職の1つに看護師長がありますが、普段どのような仕事をしているのかわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、看護師の管理職の概要や、看護師長のおもな仕事・役割、目指すメリット・デメリットなどを解説します。看護師としてキャリアを積み、看護師長を目指したい方はぜひ参考にしてください。

看護師の管理職とは

看護師の管理職には、おもに以下の3つがあります。

● 看護主任
● 看護師長
● 看護部長

看護部全体の責任者は看護部長です。医療機関の規模によっては看護部長をサポートする副看護部長がいる場合もあるでしょう。それぞれの役割を解説します。

看護主任

看護主任は、医療現場で実際の看護ケアを行うスタッフと看護師長の中間に立つ立場にある管理職です。医療機関によっては「副看護師長」と呼ばれることもあります。

以下は、看護主任のおもな仕事内容です。

● 現場スタッフの教育
● 看護ケアの質向上のための指導
● チーム医療推進のための働きかけ
● 看護師長の補佐
● 看護師長不在時の病棟管理

看護主任は一般の看護スタッフと同様に、患者のケアや看護学生の指導などにも携わります。看護師長との大きな違いは、病棟のマネジメントの視点を持ちつつ、看護実務も行うことです。

看護師長

看護師長は、看護主任と看護部長の中間にあたる管理職で、病棟や外来など、担当部署の看護師を統括する立場にあります。

おもな仕事や役割は後述しますが、担当する部署のスタッフのマネジメントだけでなく、病院全体の運営に携わることもあります。

看護部長

看護部長は、病院組織内の看護部のトップです。現場でケアを担当する看護スタッフから看護師長まで全員をまとめるほか、経営者として病院運営にも参画します。

おもにマネジメント業務が中心となるため、現場で看護業務を行う機会はほとんどありません。以下は、看護部長のおもな仕事や役割です。

● 看護部全体の管理・運営
● スタッフの採用・教育計画の作成・人材管理
● 看護部の予算計画の作成、評価
● 看護ケアの質向上の推進
● 働きやすい職場づくり
● 多職種・他部門との連携 など

看護部長には看護に関する専門知識だけでなく、高いリーダーシップ能力やコミュニケーションスキル、財務管理能力、問題解決能力が必要とされます。

看護師長のおもな仕事・役割

看護師長のおもな仕事や役割には、以下のようなものがあります。

● 担当部署のスタッフマネジメント
● 看護師の育成・支援
● 他部署・他職種との連携
● トラブルやクレームの対応

それぞれ解説します。

担当部署のスタッフマネジメント

看護師長は、自分が担当する部署が円滑に運営できるよう、看護スタッフのマネジメントを行います。

例えば、看護師一人ひとりの要望や意見をなるべく取り入れ、勤務スケジュールを作成したり、チーム配置を行ったりします。また、新人看護師やスタッフの教育や指導、キャリア開発の支援なども求められます。

看護師の仕事は心身ともにハードになる傾向があるため、スタッフが働きやすい環境を作ることも、看護師長の大きな役割だといえるでしょう。

看護師の育成・支援

看護師長は、担当部署の看護師の育成・支援も担います。部署全体の看護の質の向上を目指し、各看護師が成長できるような目標を設定するとともに、評価を行います。

担当部署のスタッフと定期的に面談を実施し、一人ひとりが抱えるキャリアや業務上の悩みに耳を傾けることも重要な仕事です。状況によっては、部署異動や退職希望などの相談にのることも少なくありません。その場合、スタッフにとって適切な解決策を見つけるために、アドバイスを行うのも看護師長の役割の1つです。

他職種との連携

看護師長は、担当部署の業務を円滑に進め、チーム医療体制を構築するために、他職種と連携を取らなければなりません。他職種の代表者と話し合うことが多いため、きちんと交渉・調整できるコミュニケーション能力が求められます。

医療現場において、看護師は医師やソーシャルワーカー、薬剤師、理学療法士、検査技師、栄養士などとの連携が必要不可欠です。看護師長は他職種の様々な意見を聞きつつ、患者にとってよりよい医療を提供するためにはどのようにしたらよいか、情報を共有したり、効率化に向けた業務調整に携わったります。

トラブルやクレームの対応

看護師長は、トラブルやクレームの対応も行います。医療の現場では、治療方針や入院生活、スタッフのケア態度などに対して、患者や家族からのクレームを受けることは少なくありません。現場スタッフだけでは解決できないトラブルやクレームに対し、看護師長は冷静かつ適切に対応しなければなりません。

看護師長は、まずは関係者であるスタッフと患者・家族の双方から情報を収集します。全体像を把握した上で問題解決に向けた公平な対応を行います。必要に応じ、スタッフに対して適切な指導を行う場合もあるでしょう。

看護師長を目指すメリット・デメリット

看護師長を目指すメリットとデメリットには、それぞれ以下のようなものがあります。

メリット・待遇がよくなる
・現場の意見をスタッフ全体に届けられる
デメリット ・キャリアアップまでの期間が長い
・精神的な負担が大きい

それぞれ解説します。

メリット1:待遇がよくなる

看護師長を目指すメリットの1つに、待遇がよくなる点が挙げられます。

看護師長は責任の大きな仕事であるため、管理職手当が付くようになります。管理職手当の金額は医療機関によって異なりますが、現場スタッフとして働いていたときよりも給与がアップするでしょう。

人事院「2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果」によると、看護師長の平均月給支給額は約43万円でした。現場で働く看護師の平均月給支給額は約35万円であり、約8万円看護師長のほうが高い結果となっています。

参照元:人事院|職種別、企業規模別、年齢階層別平均支給額

メリット2:現場の意見をきちんと届けられる

看護師長になると、現場の意見を病棟のスタッフだけでなく、他病棟、他職種スタッフ、看護部長などへ届けられるようになる点もメリットの1つとなるでしょう。

看護師スタッフとして働いていると、日々の業務に対する不満や改善点など、意見があってもいいづらく、いったとしてもきちんと採用されることは少ないものです。

看護師長になると、管理職として業務体制の改善に取り組めるようになり、より働きやすい職場につなげられるでしょう。

デメリット1:キャリアアップまでの期間が長い

看護師長を目指すデメリットの1つに、キャリアアップまでの期間が長いことが挙げられます。

看護師のキャリアアップでは、臨床の場での患者ケア技術や問題解決能力、特定分野の専門知識の習得などのため、実際に働いてきた経験が重要視されます。そのため、看護師長になるためには10~20年程度の臨床経験が必要となります。

また、看護管理やリーダーシップに関連するラダー研修やセミナーの受講などの時間も必要とされるため、看護師長になるためにはそれなりの年数がかかると考えられるでしょう。

デメリット2:精神的な負担が大きい

看護師長は、精神的な負担が大きいこともデメリットの1つです。

看護師長は責任を求められる立場であり、看護部長や院長など、上層部と現場の板挟みになることも多くなります。上層部と現場の看護スタッフとの間で意見が割れた場合などは、双方の意見に耳を傾け最適な提案をしなければならず、プレッシャーを感じることも少なくないでしょう。

管理職を目指さないメリット・デメリット

管理職を目指さないメリットとデメリットには、以下のようなものがあります。

メリット・業務での責任が重くならない
・患者との関わりを保てる
デメリット・体力的な不安が出てくる
・給与が下がる可能性がある

それぞれ解説します。

メリット1:業務での責任が重くならない

管理職を目指さないメリットの1つは、業務での責任が重くならないことです。

管理職になると、その分責任が重くなり、業務のなかで悩むことも多くなると考えられます。状況によっては、家庭よりも仕事を優先しなければならない場面もあるでしょう。

管理職を目指さず現場スタッフとして働いていても、人の命や健康に関わる仕事である以上、プレッシャーや責任はあります。とはいえ、スタッフのマネジメントやスケジュール調整、担当部署の運営管理、トラブル対応などの任務がない分、仕事へのプレッシャーが比較的軽いといえます。

メリット2:患者との関わりを保てる

管理職を目指さない場合、患者との関わりを保てることもメリットだといえます。

管理職になるとマネジメント業務がメインとなり、現場で患者のケアを行う機会が大幅に減ります。管理職にならなければずっと現場で働けるため、患者と関わることが好きな人や現場業務にやりがいを感じている人は、モチベーションを保ちやすいでしょう。

また、直接的な患者ケアに集中でき、特定の臨床スキルや専門分野の知識を深め、専門・認定看護師などのキャリアアップの道に進むことも可能です。

デメリット1:体力的な不安が出てくる

管理職を目指さない場合、体力的な不安がつきまとうことはデメリットです。

現場の看護師は、清拭や体位交換、患者の移動や介助など、患者の直接的なケアをこなす必要があります。また、夜勤を含む交代制勤務が一般的で、年齢を重ねると、体力的な理由から転職を考えたり、今までとおり働けなくなったりする人も少なくありません。

デメリット2:給与が下がる可能性がある

管理職を目指さない場合、給与が下がる可能性がある点もデメリットの1つです。

管理職にならず、現場スタッフとして働き続けたとしても、年齢を重ねるにつれて体力面できつくなり、夜勤の回数を減らすといったことが考えられます。その結果、夜勤手当も必然的に減り、給与が下がります。

まとめ

今回は、看護師の管理職の概要や、看護師長のおもな仕事・役割、目指すメリット・デメリットなどを解説しました。

看護師の管理職には、看護部長、看護師長、副看護師長、看護主任などがあります。看護師長は、おもに担当部署のスタッフマネジメントや他職種との連携、クレームやトラブル対応など、責任のある立場にあります。

管理職を目指す際、メリットやデメリットがあるため、自身が看護師としてどう働き続けたいかをよく見極めて選択することが大切です。

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