認定看護師になるには?必要な条件とかかる費用、メリットを解説

認定看護師になるには?必要な条件とかかる費用、メリットを解説

認定看護師になるには?必要な条件とかかる費用、メリットを解説

看護師のキャリアアップの手段の1つである認定看護師。看護師として働いている人のなかには、認定看護師資格の取得を目指している人もいるのではないでしょうか。

認定看護師になるには、臨床経験や教育施設での修学が必要です。そこで、認定看護師の役割、資格取得の流れやポイントについて解説します。認定看護師を志している人は、ぜひ参考にしてみてください。

認定看護師の特徴・役割とは

認定看護師は医療の高度化にともない、専門性の高い看護を提供する人材を育成するために作られた資格制度です。ここでは、認定看護師の特徴や役割についてみていきましょう。

認定看護師の概要

認定看護師とは、特定の看護分野において高い看護技術と知識を持つと認められた看護師のことです。日本看護協会が認定する認定看護師教育機関でカリキュラムを履修した後、認定試験に合格すると、資格を得られます。

認定看護師制度は水準の高い看護師を社会に送り出すことで、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的としています。

認定看護師の活躍する分野は、制度が始まった1995年時点では救急看護と皮膚・排泄ケアの2つでした。その後、見直しや統合を経て分野を増やし、現在は21分野あります(2023年現在)。

クリティカルケア, 緩和ケア, がん薬物療法看護, 在宅ケア, 生殖看護, 腎不全看護, 摂食嚥下障害看護, 小児プライマリケア, 脳卒中看護, 呼吸器疾患看護, 心不全看護, 皮膚・排泄ケア, 感染管理, 糖尿病看護, 新生児集中ケア, 手術看護, 乳がん看護, 認知症看護, がん放射線療法看護

参考:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

認定看護師の3つの役割

特定の分野の高度なスキルと知識を持つ認定看護師には、現場での看護ケアの実践、他の看護師への指導、医療機関の内外での看護者の相談対応の3つが求められています。

≪認定看護師の役割≫

実践患者や家族に、高度なスキルや知識に基づいた看護ケアを提供する
指導 職場の看護師に対して、認定看護分野に関する技術や知識の指導を行う
相談 医療機関内外の看護ケアに携わる人(介護施設の看護師や介護職員など)にアドバイスする

専門看護師との違い

認定看護師と混同しやすい資格に、専門看護師があります。専門看護師は、特定の看護分野の知識や技術を持つ看護師に与えられる資格です。認定看護師と同様に、専門看護師資格も日本看護協会が発行します。

専門看護師の看護分野は以下の14分野があります。

がん看護, 精神看護, 地域看護, 老人看護, 小児看護, 母性看護, 慢性疾患看護,急性・重症患者看護, 感染症看護, 家族支援, 在宅看護, 遺伝看護, 災害看護, 放射線看護

認定看護師の担う分野が特定の看護ケアや疾患などであるのに対して、専門看護師は特定の看護分野全体を担います。そのため専門看護師には5年の臨床経験のほかに、看護系大学の修士卒業資格が求められます。

専門看護師も認定看護師と同じように、高度な知識や技術に基づいて、看護ケアの実践や相談対応をおこないます。専門看護師はこれらに加え、患者や家族が必要な看護ケアを受けるための調整や教育をしたり、研究活動をしたりする役割を担います。

認定看護師には、医療現場における質の高い看護ケアの提供が求められており、より臨床に即した資格といえるでしょう。

参考:専門看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会

認定看護管理者との違い

認定看護師と名前がよく似ている看護師資格に認定看護管理者があります。認定看護管理者は、看護師長など看護管理に関わる人の指導や教育をおこない、病院や地域の看護ケアを向上させる役割があります。

認定看護管理者の資格取得の要件には、5年の臨床経験があり、そのうち看護管理に関する経験が3年以上必要です。認定看護管理者は看護師長クラスのための資格であり、看護師の管理や育成などのマネジメントを担う存在です。

このため、看護師長や看護部長を務める看護師が、さらにマネジメント能力を高めたり、キャリアアップを図ったりするために、認定看護管理者の資格取得を目指します。このように、医療現場で直接患者や家族と関わる認定看護師とは役割が大きく異なります。

認定看護師になるには

認定看護師を目指す場合、資格要件を満たした上で認定看護師教育機関に入学・修了し、認定審査に合格しなければなりません。ここでは各ステップについてみていきましょう。

1.資格要件を満たす

認定看護師を目指すには、看護師免許取得後、5年以上の臨床経験が必要で、このうち3年以上は、認定看護師資格の取得を目指す分野に関連する診療科・領域であることが求められます。

そのため、早期に認定看護師を志す人は、希望の診療科・領域に配属されるよう自ら動く必要があります。希望する認定看護師分野の診療科・領域に配属されていない場合、早めに配置転換を申し出るとよいでしょう。

2.認定看護師教育機関入学・修了

認定看護師になるには、認定看護師教育機関に入学し、指定のカリキュラムを修了しなければなりません。認定看護師の養成カリキュラムには、特定行為研修が含まれていない「A課程」と、特定行為研修を含む「B課程」があります。

認定看護師教育機関での授業時間は、A課程が615時間、8課程が800時間+特定行為研修の実習時間です。2029年度にはA課程の認定看護師の認定審査が終了します。教育機関を選ぶのに迷っている人は、B課程を検討してみるとよいでしょう。

3.認定審査

教育機関のカリキュラム修了後、認定看護師は日本看護協会が実施する認定審査を受けます。認定審査は筆記試験形式で行われ、問題は共通科目と教育機関で学んだ専門分野から出題されます。

認定審査の筆記試験は150点満点で、105点以上獲得すれば合格となります。認定看護師の合格率は90%以上と高く、教育機関のカリキュラムをしっかり学べば合格できるでしょう。

4. 認定看護師認定証交付・登録

認定審査に合格すれば、認定看護師として日本看護協会に登録されます。認定看護師の登録は、特定行為研修を含まない「A課程」と特定行為研修を含む「B課程」で区別されています。

A課程で登録された認定看護師も、特定行為研修を受けることでB課程の認定看護師に移行することが可能です。認定登録が完了すると、日本看護協会より認定証が交付されます。

認定看護師になるメリット

認定看護師になると、以下のメリットがあります。

周囲から信頼される

認定看護師になり、特定の専門分野に関する知識やスキルを得ると、自分の看護ケアに対して自信を持てるようになるでしょう。認定看護師として、患者さんに専門的な看護ケアを提供するだけでなく、スタッフへの指導や教育をすることもあります。

身に付けた知識とスキルを活かして専門性の高い看護ケアを広めることで、周りのスタッフからも頼られ、一目置かれる存在になれるでしょう。

出来ることが増えて待遇も向上する

医療機関によっても異なりますが、認定看護師の資格を取ると、毎月3千円から8千円程度の資格手当がつきます。また、認定看護師になり特定の分野の知識とスキルを身に付くことで、自分の業務範囲も幅広くなります。

看護師として責任のある業務を任されたり、スタッフの育成やチームをまとめる立場となったりするため、待遇が良くなり昇進のチャンスも広がるでしょう。

認定看護師の取得にかかる費用

認定看護師になるには、さまざまな費用がかかります。ここでは、認定看護師にかかる費用と、その他の費用についてみていきましょう。

一般的な費用

認定看護師の取得にかかる一般的な費用は、約120~200万円です。各費用の内訳は以下です。

教育機関の入学検定料 50,000円

入学金 50,000~75,000円

授業料 約100~180万円

認定審査料      51,700円

認定登録料      51,700円

更新審査料      30,800円

更新登録料      20,900円

特定認定看護師移行費用         3,000円

※上記は税込の金額です。

認定看護師になるのに必要な費用には、教育機関の授業料以外にも、入学検定料や入学金、認定や再認定のための審査料や登録料があります。各費用は少額ではないため、計画的に次のステップを進めるように、資金の準備や預金をするようにしましょう。

その他費用

認定看護師になるためにその他の費用がかかることがあります。認定看護師教育機関には寮がない所も多く、賃貸アパートやマンションを借りる必要がでてきます。その場合、家賃や引っ越し代がかかりますし、住む場所によっては教育機関に通学するための交通費も必要です。

また、講義内容をメモしたり、課題レポートを作成したりするのにパソコンが必須です。加えて、書籍や文献のコピー代もかかります。

認定看護師新制度の変更点

認定看護師の制度は、日本の医療の状況を踏まえて、定期的に見直しがされています。ここでは、認定看護師の新しい制度の内容についてみていきましょう。

A課程認定看護師の廃止

現在の認定看護師は、特定行為研修の有無によってA課程認定看護師とB認定看護師の2つに分けられます。特定行為とは、医師の指示の下でおこなう特定の医療行為(人工呼吸器の設定変更、気管カニューレの交換など)のことです。

看護師の特定行為制度は、少子高齢化や限られた医療資源で、患者に必要な医療行為を適切なタイミングを提供することを目的として作られました。

今後、特定行為研修を含まないA課程の認定看護師の養成は2026年度まで、審査は2029年度までとなり、以降は廃止されます。

また、A課程での更新審査や再認定審査は永続的に継続されるため、A課程制度が廃止になった後も認定看護師として活動ができます。さらに、特定行為の研修を受けることでB課程の認定看護師になることも可能です。

B課程認定看護師への移行

A課程認定看護師は、特定行為の研修を受けることでB課程認定看護師へ移行することができます。ただ、2027年以降はA課程の認定看護師教育機関がなくなり、B課程の認定看護師のみの教育機関となります。

制度の見直しにより、新たな登録が必要になる可能性もあるため、情報を欠かさずチェックしましょう。

認定看護師を目指すときの注意点

認定看護師になるには、以下の注意点が挙げられます。

資格取得までには時間がかかる

認定看護師の資格取得までには、教育機関の入学試験などの準備期間を含め約2年かかります。

また、教育機関での受講の時期や期間は、目指す分野や教育機関によっても異なります。一般的な受講期間は、A課程が7~11ヵ月、B課程が12ヵ月です。B課程の教育機関の受講期間は特定行為研修がある分、長くなります。

認定審査は年1回で、試験は10月頃におこなわれます。エントリー時期は8月頃です。分野や教育機関によっては、すぐに認定審査を受けられず、時間が空くこともあるでしょう。

このため、教育機関での受講期間と認定審査の時期を踏まえて、計画的に行動することが大切です。

分野によっては引っ越しなどが必要

認定看護師の教育機関は全国にありますが、目指す分野によっては全国で1箇所しかないこともあります。自分の目指す分野の教育機関に通学するために、一定期間の転居が必要になることもあるでしょう。

また、認定看護師の受講時間は、教育機関によってもバラバラです。例えば、朝から夕方まで講義がある全日制の施設もあれば、仕事との両立を配慮して、専門科目の講義は週2日、共通科目の講義は夏季に集中的に1ヵ月間といった受講スタイルを取っている施設もあります。

そのため、教育機関の受講日程によっては、看護師の仕事を長期間休む必要があるでしょう。

さらに、既婚者が認定看護師を目指すのであれば、家庭や育児との両立についても考えなければなりません。

認定看護師教育機関の就学中は、仕事や家庭とのバランスをとるのが難しくなります。認定看護師を目指す際は、上司や家族へ相談しながら準備を進めていきましょう。

奨学金や取得支援制度を確認する

認定看護師を目指すにあたっては、奨学金制度や資格取得支援制度を利用することをおすすめします。日本看護協会では、認定看護師教育機関の在籍者に対して、年間120万円以下を貸与しています。

また、病院によっては、認定看護師資格の取得支援制度を設けている施設もあります。取得支援制度を利用すると、教育機関の就学中は休職ではなく、出張や研修扱いになるため、毎月の給与を受け取ることが可能です。さらに、病院によっては、受講料や交通費を支給している施設もあります。

認定看護師を目指す際は、勤務先の病院に認定看護師資格の取得支援制度があるかどうか確認してみましょう。

更新手続きを忘れずにおこなう

認定看護師資格を保持するには、5年ごとの更新手続きが必要です。定期の更新審査を受けないと、認定看護師の資格を喪失させてしまうことになります。

なお、2020年度以前に登録した人であれば、再認定審査に合格することで再び認定看護師として活動することができます。再認定審査では、更新審査と同様に、認定看護師としての実践時間や自己研鑽の実績が評価対象となります。

ただし、2021年度以降に初めて認定看護師に認定された人には、再認定審査は実施されません。認定看護師として働き続けたい人は、更新を忘れないようにしましょう。

まとめ

認定看護師は、特定の分野について高度な技術と知識を持った看護師のことです。医療現場での看護実践に加えて、指導者や相談役としての役割が期待されています。

認定看護師になるには、教育機関での修学や一定の臨床経験が必要です。修学期間や費用などを十分に把握した上で、認知看護師になるための準備を進めていきましょう。

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参考:公式社団法人日本看護協会看護研修学校/2023年度認定看護師教育課程特定行為研修を組み込んでいる教育課程(B課程教育機関)募集要項

参考:公式社団法人日本看護協会/認定看護師

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