看護師の給与明細の見方をわかりやすく解説!

看護師の給与明細見方をわかりやすく解説!|スマイルナース

「給与明細で手取り額は確認するけど、他の項目はあまり気にしていない」「給与明細をもらっても、見方がよくわからないから放置している」

給与明細は毎月必ず目にするものですが、その内容をしっかり理解できていない看護師もいることでしょう。

給与明細には基本給や各種手当、控除に関することなど、大切な情報が記載されています。特に夜勤や土日出勤がある看護師は、それらの手当がきちんと支払われているか、回数や時間数に応じて給与の変動はどの程度あるのか、把握しておくことが大切です。

この記事では、看護師の給与明細の見方について、「支給項目」「控除項目」「勤怠項目」の3つの項目ごとに、わかりやすく解説します。

《支給項目》看護師の給与明細の見方【所定内給与】

「所定内給与」とは、労働契約や雇用契約であらかじめ定められた条件の下で支払われる給与のことで、基本給や諸手当などが該当します。具体的にどのようなものが含まれるのか、それぞれ見ていきましょう。

1:基本給

基本給は給与の土台であり、次の条件で金額が異なります。

 勤務地
 保有資格
 経験年数
 勤続年数

基本給は、各種手当を含まない金額のことです。基本給をベースに賞与や退職金などが計算されるため、正しく把握しておくことが大切です。

2:諸手当

諸手当は、基本給にプラスして支払われるもので、以下のような種類があります。

諸手当内容
資格手当・看護師資格を有することへの手当

・資格の種類や経験年数によって変動

役職手当・看護主任や看護師長など役職に応じた手当

・役職が上がるにつれて金額も増加

住宅手当・家賃や住宅ローンを補助する手当

・支給条件や金額は勤務先による

家族手当・扶養家族がいる場合に支給される手当

・配偶者や子供の数により変動

通勤手当・通勤にかかる費用を補助する手当

・公共交通機関の利用料やガソリン代など

夜勤手当・夜勤に対する手当

・夜勤の回数や時間帯によって変動

危険手当・手術室、精神科、放射線科など危険が伴う業務への手当

参照元:5分で分かる給与明細|日本看護協会

これらの手当は、就業先によっては支給されなかったり、「調整手当」「交代勤務手当」など、別の手当として支給されたりするケースもあります。

特に夜勤手当は、勤務先の病院や施設により金額に差が出ます。日本看護協会が行った「2023年病院看護実態調査」によると、3交代制の準夜勤手当は平均4,234円/回、深夜勤手当は平均5,199円/回、2交代制の夜勤手当は平均11,368円/回でした。

参照元:5分で分かる給与明細|日本看護協会

《支給項目》看護師の給与明細の見方【所定外給与】

「所定外給与」とは、あらかじめ定められた条件の範囲を超えて労働した場合に支払われる給与のことで、時間外勤務や休日出勤などが該当します。これらの手当は、基本給や各種手当をもとに計算され、勤務状況によって変動があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

時間外勤務手当(残業手当)

「時間外勤務手当」は、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えた場合に支払われ、割増賃金率は、通常賃金の25%以上と定められています。

例えば、1時間あたりの通常賃金が1,000円の場合、時間外勤務手当は1時間につき1,250円以上になります。

残業時間が増えるほど時間外勤務手当の支給額も増えます。

ただし、残業時間の上限は労働基準法によって定められており、原則として月45時間、年360時間までです。また、病院によっては独自に長時間労働を防ぐ取り組みをおこなっており、病院の規定による残業時間の制限が法定残業時間より厳しいところもあります。

参照元:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省

法定休日手当(休日出勤手当)

「法定休日手当」は、法定休日(労働基準法で定められた休日≒公休)に勤務した場合に支払われる手当で、割増賃金率は通常賃金の35%以上と定められています。

看護師の勤務は、シフト制で休日の曜日が一定ではなく、法定休日(≒公休)が平日になることもあります。病院によっては、人員不足や緊急時などの理由で、看護師に休日出勤を求めることも珍しくありません。

例えば、本来は休みの日に急患対応のために出勤したり、人手が足りない部署の応援のために出勤したりするケースです。

なお、法定休日は必ずしも土日祝とは限りませんが、雇用者は従業員に対し、週1日または4週を通じて4日以上の休日を与える必要があります。

休日出勤の頻度や勤務時間帯によっては、別途手当が支給される場合もあります。

参照元:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省

深夜勤務手当(深夜勤務給)

労働基準法では22:00から翌日5:00までを“深夜勤務帯”と定め、その時間に労働した場合に「深夜勤務手当」を支払うことを義務付けています。

3交代制の場合、夜勤手当は「準夜勤手当」「深夜勤手当」に分かれます。割増賃金は深夜勤務帯の労働に対して支払われ、その割増賃金率は25%以上です。

たとえば、17:00から翌日9:00までの夜勤勤務のケースを考えてみましょう。17:00〜22:00と5:00〜9:00の間は通常の賃金で、22:00〜翌5:00の時間帯は割増賃金の対象となります。

深夜勤務は、身体的、精神的に負担がかかりやすいものです。そのため労働基準法では深夜勤務手当を支給するよう定めています。夜勤をおこなう看護師にとって、深夜勤務手当は給与の金額を左右する重要な要素です。

参照元:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省

《控除項目》看護師の給与明細の見方

「控除」とは、給与からある一定の金額を差し引くことを意味します。ここでは、給与から差し引かれる保険料や税金などについて解説します。

看護師の毎月の給料から、どのようなものが引かれているのかを確認しましょう。

1:健康保険料

健康保険は病気やケガをしたときに医療費の経済的負担を軽減する公的制度です。

看護師が健康保険に加入すると、所得に応じた健康保険料を支払うことになりますが、

この制度によって医療費の自己負担額が軽減されます。

例えば、風邪をひいたり熱が出たりして病院を受診した際、マイナ保険証(健康保険証)を提示すれば、医療費の自己負担は多くの場合、3割で済みます。入院したときでも、“高額療養費制度”を利用することで、自己負担額を一定額に抑えられるのです。

また、健康保険に加入していると、傷病手当金や出産育児一時金などの給付も受けられます。

参照元:健康保険とは|経済団体健康保険組合

2:厚生年金保険料

「厚生年金保険」は、老後の生活を支える公的な年金制度です。健康保険に加入する看護師は、同時に厚生年金保険にも加入することになります。加入者は現役時代に保険料を納めることで、将来的に次の年金を受け取れます。

 老齢厚生年金
  障害厚生年金
 遺族厚生年金

厚生年金保険料は、「標準報酬月額(給与や賞与などをもとに計算した金額)」と「保険料率(一律18.3%)」をもとに計算され、毎月の給与から自動的に差し引かれます。

厚生年金保険料は、将来の年金受給額に影響します。保険料を納めた期間が長いほど、年金受給額は増える傾向にあります。

保険料の支払いは、老後の安定した生活を支える重要な投資とも言えるでしょう。

参照元:厚生年金保険料額表|日本年金機構

3:企業年金

企業年金とは、「国民年金」「厚生年金」といった公的年金とは別に、病院や施設が任意で導入する年金制度のことです。

看護師の老後の生活を安定させるために、病院や施設が原資を拠出して給付するもので、公的年金の不足分を補う役割を果たします。

ただし従業員の福利厚生の一環として設ける病院や施設が多いため、職場によっては加入できない場合があります。

参照元:よくあるご質問|企業年金連合会

4:雇用保険料

「雇用保険」は、失業や育児・介護休業時の生活を支援する公的な保険制度です。

病院や介護福祉施設に雇用されている看護師は、原則として加入が必要で、保険料は毎月の給与から自動的に差し引かれます。雇用保険に加入することで、次のサポートを受けられます。

 失業保険の給付
 求人情報の提供
 職業訓練の受講
 育児・介護休業給付

雇用保険制度は、看護師の生活を安定させるうえで重要なものです。しっかり理解しておきましょう。

参照元:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省

5:社会保険料合計

社会保険には、主に次の3つが挙げられ、保険料はいずれも毎月の給与から自動的に引かれます。

健康保険:病気やケガをした際の医療費を補助するための保険
厚生年金保険:老後の生活を支えるための保険
介護保険:要介護認定をされた際に、必要な介護サービスを利用するための保険

社会保険に加入することで、看護師は病気やケガに見舞われたとき、老後、収入が減る際、介護が必要になった場合に備えられます。

参照元:社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について|厚生労働省

6:課税対象額

「課税対象額」とは、看護師の所得税や住民税を計算する基準となる金額のことです。

課税対象額は、年間の総収入(給与や賞与など)からさまざまな控除額を差し引いて計算されます。控除項目には、次のようなものがあります。

 基礎控除
 配偶者控除
 扶養控除
 社会保険料控除
 医療費控除

看護師の場合、夜勤手当や残業手当、副業収入なども課税の対象です。

参照元:所得税のしくみ|国税庁

介護保険は、将来介護が必要になった場合に、介護サービスを利用できるよう備える制度です。

加入対象は40歳以上で、所得に応じた保険料を納付します。保険料は、市区町村ごとに定められた保険料率と所得によって計算され、一般的に給与から自動的に差し引かれます。

この制度に加入することで、介護が必要になった際には、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなど、さまざまなサービスを利用できます。

参照元:介護保険制度の概要|厚生労働省 老健局

8:所得税

「所得税」は、所得に課される税金のことです。国や地方自治体の財源として、教育や福祉、公共サービスなどに活用されています。

所得税は1年間の所得金額に応じて計算され、その金額は所得が多いほど高くなります。

所得税は生活に深く関わる税金であり、その仕組みや計算方法を理解しておくことが大切です。

参照元:所得税のしくみ|国税庁

9:住民税

「住民税」は、住民票のある都道府県や市区町村に納める税金であり、地域社会の公共サービスを支える財源となります。主に次のような公共サービスに活用されています。

 教育:小中学校の運営費や図書館の運営費
 福祉:高齢者福祉や障害者福祉の費用
 防災:消防署の運営費や防災対策の費用

住民税は収入や居住する地域によって金額が異なり、毎月の給与から天引きされます。

参照元:個人住民税|総務省

10:財形貯蓄

「財形貯蓄」は勤務先が独自に設ける制度で、看護師の計画的な資産形成をサポートします。給与から定期的に積立を行うもので、目的に応じて次のタイプから選択できます。

 住宅財形貯蓄:住宅の購入資金の貯蓄
 年金財形貯蓄:老後の生活資金の貯蓄
 一般財形貯蓄:使い道が決まっていない貯蓄

ただし、いずれの財形貯蓄も原則として中途解約ができず、解約した場合は税制上の優遇措置が受けられなくなる可能性があります。

参照元:財形貯蓄制度|厚生労働省

《勤怠項目》看護師の給与明細の見方

看護師の給与明細の「勤怠項目」には、次のように労働時間や休暇の取得状況などが記載されています。

勤怠項目内容
出勤日数実際に出勤した日数
有給休暇日数有給休暇を消化した日数
時間外労働時間残業した時間
遅刻・早退時間遅刻や早退した時間
オンコール日数オンコール対応をした日数

参照元:5分で分かる給与明細|日本看護協会

これらの項目を確認することで、自分の働き方を客観的に見つめ直せます。また、有給休暇の付与日数・消化状況を確認することで、ワークライフバランスの改善につなげられるでしょう。

参照元:5分で分かる給与明細|日本看護協会

看護師の給与明細の全体の見方

給与明細は、大きく3つの項目に分かれています。

項目内容
支給項目実際に支払われる給与
控除項目給与から差し引かれるもの
勤怠項目労働時間や休暇の取得状況

給与明細全体を見ることで、自分の給与がどのように構成されているかを把握できます。給与明細の内容について疑問点がある際は、上司や人事担当者に確認すると、より安心して働けるでしょう。

 

看護師の平均給与と給与アップの方法は、下記の記事でより詳しく解説しています。

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まとめ

給与明細は主に「支給項目」「控除項目」「勤怠項目」という3つの項目に分かれ、それぞれに労働の対価である給与に関する大切な情報が記載されています。

定期的に給与明細をチェックすることで、自身の労働状況を客観的に把握できます。
給与明細の内容に疑問点がある際は、上司や人事担当者に相談しましょう。より安心して仕事に取り組めるようになります。

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