【肉芽とは?原因や不良肉芽の治療方法を詳しく解説|スマイルナース】

ピアスをしている人の中には、耳のしこりが気になっている人もいるのではないでしょうか。耳のしこりの原因は不良肉芽にあることもあります。では肉芽とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、肉芽の特徴や不良肉芽ができる原因について解説します。肉芽について詳しく知りたい人、不良肉芽による耳のしこりでお困りの人はぜひ参考にしてみてください。

肉芽とは?

肉芽とは、外傷や炎症で組織が欠損している部分にできる新生組織のことです。肉芽は毛細血管に富んだ結合組織で、肉眼では赤い粒状にみえるため「肉芽」と呼ばれています。

肉芽は創傷治癒のプロセスで作られます。ケガなどにより体の組織に傷ができると出血や凝固、炎症を経て、肉芽組織が形成されます。

肉芽組織の中に血管が入り込むと、傷のある組織に栄養が送られます。また、ある程度まで肉芽組織が増殖すると筋線維芽組織となり、傷口を縮めて治そうとします。

その後、肉芽がある程度、皮膚面の高さまで上がってくると、周囲の表皮組織が伸び、傷口を覆います。その後、肉芽組織が硬くなり、傷跡となります。

不良肉芽について

肉芽は傷の治癒に欠かせない存在ですが、異常な肉芽がみられることもあります。例えば、良性肉芽では赤みがあり、全体が締まっているのに対し、異常な肉芽である不良肉芽では、赤みが薄くむくみがみられます。不良肉芽では血管新生がうまく働かず、壊死してしまうこともあります。

また、異常な肉芽に「肉芽腫」があります。肉芽腫とは、炎症の慢性化により繊維芽組織が大きくなったものです。肉芽腫には肉芽から形成されるものもあれば、リンパ球や形質細胞、繊維芽組織で形成されるものもあります。肉芽種が原因となる代表的な病気には、クローン病やサルコイドーシスがあります。

肉芽ができたら医療機関へ

異常な肉芽の中で気づきやすいのが、皮膚表面にできる肉芽です。不良肉芽は傷口からできるため、ケガなど傷のある場所にみられやすい特徴があります。

また、近年は若者を中心にピアスをしている人も多く、耳に肉芽腫ができることもあります。耳に肉芽腫ができるとしこりがみられるため、耳鼻咽喉科へ受診する人もいるようです。

ですが、耳のしこりの原因が肉芽である場合は、皮膚科や形成外科を受診するようにしましょう。耳の内部に肉芽ができているときは、耳鼻咽喉科で治療を受けられます。

不良肉芽ができる原因

良性肉芽は傷口の上皮化を促しますが、不良肉芽では上皮形成が十分に起こらず、傷口が治りにくくなります。不良肉芽が起こる原因は以下です。

1.傷口の感染

傷口に感染が起きると炎症が慢性化し、正常な肉芽形成が妨げられるため、不良肉芽が形成されます。中耳炎など耳の内部の細菌感染により、不良肉芽ができることもあります。

2.異物反応がある

ピアスやカテーテルなど異物反応や摩擦による刺激により、不良肉芽が形成されることがあります。胃ろうに当てるYガーゼもまた異物反応が起きる原因になります。

3.壊死組織によるもの

壊死した組織も人体にとっては異物です。異物である壊死組織を排除しようと炎症反応が起こるため、不良肉芽が作られやすくなるのです。

不良肉芽は治療したほうがいいのか

不良肉芽では肉芽の増生が少なく上皮化が起こりにくいため、創傷治癒につながりません。また、不良肉芽ができている部分によっては、異常な肉芽組織が肥大化して、出血や痛みを引き起こすこともあります。

不良肉芽がみられたときは、早めに治療を受けるのがおすすめです。不良肉芽かどうか自分で分かりにくい時は、医療機関に相談しましょう。

なお、不良肉芽をハサミで切ろうと考える人もいるようですが、肉芽には毛細血管が通っており、ハサミで切ると出血や細菌感染につながります。不良肉芽は自分で対処せずに、きちんと治療を受けるようにしましょう。

不良肉芽の治療方法

不良肉芽の治療法は切除やステロイド軟こうの塗布です。また、治療に加えて、不良肉芽の原因に対するアプローチが必要です。創感染により不良肉芽が形成されている場合は、細菌感染をコントロールする必要があります。

特に、胃ろう挿入部に不良肉芽ができている場合、皮膚の切開範囲が狭く、十分に細菌排出が行われないことが考えられます。胃ろうなどカテーテルの挿入部に不良肉芽がみられているときは、切開して排膿を促します。切開範囲を広くすることで、血流が保持されやすくなり細菌貪食も起こりやすくなります。

異物反応により不良肉芽が消えている場合は、皮膚の圧迫を低減する必要があります。ピアスが原因で耳に肉芽がみられるのであれば、ピアスの使用を控えましょう。

壊死組織が原因で不良肉芽がみられている場合は、壊死組織そのものを切除します。これを「デブリードマン」と呼びます。

また、傷のある部分に執拗に消毒するのはおすすめできません。すでに閉鎖している傷口であれば、消毒液を使用しても大きな意味がないためです。消毒液には細胞毒性があり、創傷治癒を遅らせたり、不良肉芽の形成の原因になったりするため、適切に使用しましょう。

不良肉芽ができやすい年齢とは?

不良肉芽ができやすい年齢は特にありません。ただ、傷のある部分にできやすいことから、要因によってはできやすい年齢があるといえます。

ピアスが原因の不良肉芽は、10代後半から20代の若い人にできやすいでしょう。一方、高齢者では胃ろうやカテーテルなどの医療処置が必要な人や、寝たりきりによる褥瘡ができる人も多くいます。このような場合は、高齢者に不良肉芽の形成がみられやすいといえるでしょう。

まとめ

肉芽は創傷治癒の過程で形成されるもので、良性肉芽と不良肉芽があります。いくつかの要因により不良肉芽が形成されることがありますが、不良肉芽は肉芽の増生が不十分で、上皮化が起こらないため、傷の治りの遅れを招きます。

不良肉芽は皮膚の傷にみられやすいほか、ピアスや胃ろうなど異物の挿入部にもみられやすくなります。不良肉芽ができると、時には組織が大きくなり出血や痛みが起こることもあります。早めに皮膚科や形成外科を受診しましょう。

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参考:
NPO法人創傷治癒センター/傷と治療の知識

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